想定読者:製造業の経営企画・FP&A(財務計画・分析)・原価計算の担当者、工業簿記で部門別計算を学ぶ方、製造業の財務デューデリジェンスで原価の配賦方針を読む方
前提知識:製造間接費を予定配賦率で製品へ配る考え方。連立方程式は、2本の1次式が解ければ十分です。

結論:3方法の違いは、補助部門どうしのやり取りをどこまで計算に入れるかです

製造業の予算や原価の検討では、動力部門・修繕部門・工場事務部門のような補助部門の費用を、切削部門や組立部門へ配賦(共通の費用を一定の基準で部門や製品に割り振ること)する場面が出てきます。動力部門は修繕部門にも電力を供給し、修繕部門は動力設備の保全もしています。この補助部門どうしのやり取りを無視して配ると、配賦率と製品の単位原価はどれだけずれるのか。そのずれは、どの方法なら許容できるのか。本記事は1つの設例で、直接配賦法・階梯式配賦法・相互配賦法を比べて答えます。

結論を先に述べます。3方法は、補助部門費の総額を製造部門へ配り切る点が同じで、補助部門どうしの用役(電力の供給や修繕作業のように、ある部門が別の部門へ提供する働き)をどこまで計算に入れるかだけが違います。設例(図表4)では、どの方法でも製造部門費の合計は109,400千円のままで、直接配賦法の切削部門費は相互配賦法より1,440千円(相互配賦法の値に対して2.1%)多く、組立部門費は同額(3.4%)少なくなります。差は、補助部門間の用役の大きさと、補助部門ごとの製造部門への配り方の違いの両方から生じます。補助部門間にやり取りがなければ、あるいはどの補助部門も製造部門へ同じ比率で配っていれば、3方法は一致します。

部門別計算の位置づけと、用役提供割合表の作り方

日本の原価計算基準(企業会計審議会、1962年。2026年10月時点で財務会計基準機構が掲載する文言)は、製造原価を、まず費目別に、次いで原価部門別に計算し、最後に製品別に集計するとします1。間接費をいったん集計の単位(コストプール)にまとめてから配るのは、Corporate Finance Institute(CFI)も説明する一般的な手順で2、部門別計算は部門をその単位にします。配賦基準の選び方は用語集に委ねます。

原価部門は製造部門と補助部門に分かれ、基準は補助部門を、動力部・修繕部などの補助経営部門と、工場事務部などの工場管理部門に分けて例示します3。教科書では、その部門で発生した部門個別費を直接負担させ(賦課)、複数部門に共通の部門共通費を配賦して各部門に費用を集める段階を第1次集計、補助部門費を製造部門へ配って製造部門費を求める段階を第2次集計と呼び4、本記事の主題は第2次集計です。

第2次集計について、基準は「次いで補助部門費は、直接配賦法、階梯式配賦法、相互配賦法等にしたがい、適当な配賦基準によつて、これを各製造部門に配賦し、製造部門費を計算する。」と定めます5。挙げられているのは3方法の名称だけで、手順の定義も、どれを選ぶべきかの基準もありません。連立方程式法・連続配賦法という呼び名も基準にはなく、教科書や論文での呼び名です。以下の手順は、教科書の一般的な整理に基づく編集部の説明です。

学習用の架空事例で比べます。工作機械部品を作るR社の工場(20X3年度の年間予算)で、製造部門は切削部門と組立部門、補助部門は動力部門・修繕部門・工場事務部門です。第1次集計後の各部門費は図表1の①のとおりです。配賦基準は、動力部門がkWh、修繕部門が修繕時間、工場事務部門が従業員数です。補助部門が各部門へ提供した量を、補助部門ごとに合計100%となる割合で表した表を、本記事では用役提供割合表と呼びます。自部門への提供は表から除きます6。

図表1:第1次集計後の部門費と用役提供割合表(R社)
項目動力修繕工場事務切削組立合計
① 第1次集計後の部門費(千円)15,4006,0006,00052,00030,000109,400
動力部門の提供量(kWh)―200,000―640,000160,0001,000,000
 提供割合―20%―64%16%100%
修繕部門の提供量(修繕時間)1,000――1,8007,20010,000
 提供割合10%――18%72%100%
工場事務部門の提供量(従業員数)44―161640
 提供割合10%10%―40%40%100%
対象期間:20X3年度(年間の予算額・計画量)。単位は行ごとに表示。①以外の行は、行の部門(左端)から列の部門への提供を表し、「―」は提供なし(自部門への提供は除く)。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表1のとおり、動力部門と修繕部門は互いに用役を提供し合っています(動力→修繕20%、修繕→動力10%)。

3方法の違い:補助部門どうしの矢印をどこまで計算に入れるか

図表2の実線(補助部門→製造部門)は3方法とも計算に入れ、補助部門どうしの矢印(破線と点線)をどこまで入れるかが方法の違いです。

図表2:補助部門の用役の流れと、3方法が計算に入れる矢印 工場事務部門 (従業員数) 動力部門 (kWh) 修繕部門 (修繕時間) 工場事務→修繕 10% 10% 20% 10% 製造部門へ(3方法とも) 製造部門 切削部門 機械時間で製品へ 組立部門 直接作業時間で製品へ 実線:直接・階梯式・相互の3方法とも計算に入れる(補助部門→製造部門) 破線:階梯式と相互配賦法が入れる(順位の先の補助部門→後の補助部門) 点線:相互配賦法だけが入れる(後の順位の修繕部門→動力部門)
単位:%(各補助部門が提供した量に占める割合)。対象期間:20X3年度(年間の計画量)。矢印の割合は図表1のとおり。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

直接配賦法は、補助部門どうしのやり取りを無視し、補助部門費を製造部門だけに、製造部門への提供量の比で配ります。最も手間が少ない一方、動力部門が修繕部門へ供給した電力の費用が、修繕部門の使い方ではなく、動力部門自身の配り方で配られます。

階梯式配賦法は、補助部門に順位を付け、先の順位の補助部門から、後の順位の補助部門と製造部門へ一方向に配ります。順位の付け方は資料によって異なります。本記事は、他の補助部門へ提供している先の数が多い順、同数なら第1次集計後の部門費が大きい順とし、工場事務部門(提供先2部門)、動力部門(15,400千円)、修繕部門(6,000千円)の順です。修繕部門から動力部門への提供(図表2の点線)は計算に入りません。

相互配賦法は、補助部門どうしの提供をすべて計算に入れます。配った額が受け手の費用を増やし、それがまた配り返される循環を、連立方程式で一度に解く方法が連立方程式法で、本記事の相互配賦法はこれを指します。配賦を繰り返して残額が尽きるまで続ける連続配賦法は、同じ計算を別の形で表したもので、結果は一致します7。第1次配賦だけ補助部門どうしにも配り、受けた額は第2次配賦で製造部門だけに配る簡便な形もあります(設例の結果は次節)。日本商工会議所の簿記検定の出題区分表も、2級の「相互配賦法」とは別に、1級の範囲に「純粋の相互配賦法」を掲げ、呼び名を分けています8。

設例:3方法で補助部門費27,400千円を配る

補助部門費の合計は、工場事務6,000+動力15,400+修繕6,000=27,400千円です(図表1の①)。以下、金額はすべて千円です。

直接配賦法

製造部門への提供量の比で配ります。工場事務の6,000は16:16で切削3,000・組立3,000、動力の15,400は640,000:160,000(4:1)で切削12,320・組立3,080、修繕の6,000は1,800:7,200(1:4)で切削1,200・組立4,800です。切削は3,000+12,320+1,200=16,520、組立は3,000+3,080+4,800=10,880です。

階梯式配賦法(順位:工場事務→動力→修繕)

工場事務の6,000を、動力・修繕・切削・組立へ10%・10%・40%・40%で600・600・2,400・2,400配ります。動力は15,400+600=16,000で、修繕・切削・組立へ20%・64%・16%で3,200・10,240・2,560です。修繕は6,000+600+3,200=9,800で、先順位の動力へは配らず、切削・組立へ1,800:7,200(1:4)で1,960・7,840です。切削は2,400+10,240+1,960=14,600、組立は2,400+2,560+7,840=12,800です。

相互配賦法(連立方程式法)

各補助部門の配賦総額を、工場事務O・動力P・修繕Mとおきます。配賦総額は「自部門の費用+他の補助部門から受ける額」なので、図表3の方程式が立ちます。Oは他の補助部門から受けないのでO=6,000です。Mの式をPの式へ代入すると、P=15,400+600+0.10×M=16,000+0.10×(6,600+0.20×P)=16,660+0.02×Pで、0.98×P=16,660、P=17,000、M=6,600+0.20×17,000=10,000です。

図表3:相互配賦法(連立方程式法)の方程式・解・検算(単位:千円)
補助部門方程式(配賦総額 = 自部門費 + 他の補助部門から受ける額)解検算(解を右辺へ代入)
工場事務 OO = 6,000(他の補助部門から受けない)6,000―
動力 PP = 15,400 + 0.10×O + 0.10×M17,00015,400+600+1,000=17,000
修繕 MM = 6,000 + 0.10×O + 0.20×P10,0006,000+600+3,400=10,000
対象期間:20X3年度(年間の予算額)。係数は図表1の提供割合(0.10=10%)。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

解を各式へ戻すと両辺が一致します(図表3)。配賦総額を提供割合で配ると、切削は6,000×40%+17,000×64%+10,000×18%=2,400+10,880+1,800=15,080、組立は6,000×40%+17,000×16%+10,000×72%=2,400+2,720+7,200=12,320です。配賦総額の合計33,000から補助部門どうしの配り合い5,600(600+600+3,400+1,000)を引くと、補助部門費の合計27,400に戻ります。簡便な形では、各補助部門費を提供割合どおりに配った後(製造部門へは切削13,336・組立9,184)、動力が受けた1,200(600+600)と修繕が受けた3,680(600+3,080)を直接配賦法の比で製造部門へ配り、切削15,032・組立12,368となります。連立方程式法との差は48千円です。

製造部門ごとの配賦率は、配賦後の製造部門費を基準操業度(切削24,000機械時間、組立20,000直接作業時間)で割って求めます(相互配賦法の切削なら67,080千円÷24,000時間=2,795円)。基準も、部門間接費の予定配賦率をこの形で定めています9。基準操業度の選び方は予定配賦と基準操業度に委ねます。

結果の読み方:合計は動かず、配分だけが動く

代表製品は2つで、結果は図表4です。製品Xは切削が中心で、1個当たり機械時間1.0時間、直接作業時間0.25時間、直接材料費1,200円、直接労務費450円です。製品Yは組立が中心で、機械時間0.2時間、直接作業時間1.0時間、直接材料費2,000円、直接労務費1,800円です。単位原価は、直接材料費と直接労務費の合計(X 1,650円、Y 3,800円)に、配賦率×使用時間で求めた製造間接費を足します。

図表4:3方法の比較(製造部門費・配賦率・製品単位原価)
項目直接配賦法階梯式配賦法相互配賦法
① 切削部門への配賦額(千円)16,52014,60015,080
② 組立部門への配賦額(千円)10,88012,80012,320
③ 切削部門費 = 52,000 + ①(千円)68,52066,60067,080
④ 組立部門費 = 30,000 + ②(千円)40,88042,80042,320
⑤ 照合:③ + ④(千円)109,400109,400109,400
⑥ 切削部門の配賦率 = ③ ÷ 24,000時間(円/機械時間)2,8552,7752,795
⑦ 組立部門の配賦率 = ④ ÷ 20,000時間(円/直接作業時間)2,0442,1402,116
⑧ 製品Xの製造間接費 = ⑥×1.0 + ⑦×0.25(円/個)3,3663,3103,324
⑨ 製品Yの製造間接費 = ⑥×0.2 + ⑦×1.0(円/個)2,6152,6952,675
⑩ 製品Xの単位原価 = 1,650 + ⑧(円/個)5,0164,9604,974
⑪ 製品Yの単位原価 = 3,800 + ⑨(円/個)6,4156,4956,475
対象期間:20X3年度(年間の予算額)。単位は行ごとに表示。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表4の⑤のとおり、3方法とも製造部門費の合計は配賦前の全部門費109,400千円に一致し、配賦は費用の付け替えにすぎません。直接配賦法の差は冒頭のとおりで、階梯式配賦法は相互配賦法より切削部門費が480千円(0.7%)少なく、組立部門費が同額(1.1%)多く、この設例では直接配賦法より差が小さくなりました(%は相互配賦法の値に対する比率で、小数第2位を四捨五入)。

配賦率の差も部門費と同じ比率で、直接配賦法は切削が60円高い2,855円、組立が72円低い2,044円です。単位原価は、直接配賦法だと切削が中心の製品Xが42円(0.8%)高く、組立が中心の製品Yが60円(0.9%)低くなります(階梯式配賦法ではXが14円低く、Yが20円高く、ともに0.3%)。直接配賦法では、動力部門が修繕部門へ供給した電力の費用が、修繕部門の使い方(組立向けが多い)ではなく動力部門の配り方(切削向けが多い)で配られ、組立が中心の製品の原価が小さく見えるためです。

方法の選び方:差の大きさは、用役の大きさと配り方の違いで決まる

以下は編集部の見解を含みます。設例の差は2つの条件が重なって生じます。1つは補助部門間の提供、もう1つは補助部門ごとの切削:組立の配り方の違い(動力4:1、修繕1:4、工場事務1:1)です。補助部門間の提供割合だけを0倍(やり取りなし)・0.5倍・1倍(図表1)・2倍にし、製造部門への割合は切削:組立の比を保って調整すると、直接配賦法と相互配賦法の切削部門費の差は0・728・1,440・2,901千円と広がります(千円未満四捨五入。2倍のときの相互配賦法の配賦総額は動力19,609、修繕15,043千円)。0倍なら3方法は一致し、どの補助部門も切削:組立を4:1で配っていれば、何倍でも一致します。

選ぶ順序は、(1)図表1で補助部門間の提供と配り方の違いを確かめ、(2)相互配賦法を一度試算して、直接配賦法との差を主要製品の単位原価まで出し、(3)その差を、価格の見直し・在庫の評価・予算実績の比較で必要な精度と比べることです。差が許容範囲なら手間の少ない直接配賦法で足り、収まらなければ相互配賦法を使います。階梯式配賦法は順位に左右されます。本記事の順位のうち動力と修繕を入れ替えると、切削への配賦額は14,600千円から16,916千円に変わり(修繕6,600千円→動力・切削・組立へ660・1,188・4,752、動力16,660千円→切削・組立へ13,328・3,332)、相互配賦法の15,080千円から直接配賦法の16,520千円より遠くなります。選んだ方法は継続して使い、変更するときは前後の数値を並べて影響額を記録します。

補助部門費を予定配賦率で配った場合の差額を、基準は補助部門費配賦差異とします10。この差額、業績評価のための予算単価配賦と複数基準配賦法(固定費と変動費で配賦基準を分ける方法。固定費・変動費の分解が前提)、管理可能利益(責任会計の考え方)は共通部門費の配賦と業績評価で、部門ではなく活動を単位に配る活動基準原価計算(ABC)はABCによるSKU採算で扱います。

よくある間違いと、成立条件・限界

よくある間違いは4つです。自部門への提供量を分母に入れたまま配ると、割合の合計が100%にならず、配賦が不足します。階梯式配賦法の順位を結果を見てから決めると恣意的になるため、基準を先に決めて文書に残します。簡便な形など別の計算が同じ「相互配賦法」の名で呼ばれることがあるため、数値を比べる前に方法を確かめます。相互配賦法は、提供割合が正しい前提で相互の提供を反映する方法で、割合が推計や古い値なら精度は上がりません。

この設例は、年間の予算額と計画量で、補助部門費を固定費と変動費に分けずに配っています。提供割合と金額は、差が見えて電卓で追いやすいように置いた仮定で、実際の工場の水準を表すものではありません。製造部門どうしの用役提供、補助部門費の製品への直接配賦、実際額との差額の処理、複数拠点・複数社の共通機能の配賦(SSCコスト配賦)は扱いません。

実務チェックリスト

  • 補助部門ごとに配賦基準(kWh・修繕時間・従業員数など)を決め、用役提供割合表の各行が、自部門を除いて100%になることを確認している。
  • 直接・階梯式・相互の3方法を同じ入力で試算し、相互配賦法との差を、製造部門費・配賦率・主要製品の単位原価で出して、必要な精度と比べている。
  • 階梯式配賦法の順位の基準(提供先の補助部門の数、同数なら部門費の大きさなど)を先に決め、順位を入れ替えた結果も確認している。相互配賦法は連立方程式法か簡便な形かを明示し、解を各式へ戻して検算している。
  • 配賦後の製造部門費の合計と配賦前の全部門費の合計の差が0になることを、差分のチェックセルで確認している(検算チェックの設計)。
  • 提供量・割合の出所(メーターの読み、作業記録、人員表)を残し、前提が変わったら更新している。

よくある質問(FAQ)

補助部門費の一部を、製造部門へ配らず製品へ直接配賦してもよいですか。

基準18(二)は「一部の補助部門費は、必要ある場合には、これを製造部門に配賦しないで直接に製品に配賦することができる。」とし、33(七)は「そのおのおのにつき適当な基準を定めてこれを配賦する」とします11。特定の製品専用の治具の修繕費のように、使った製品が明らかな費用が候補です(例は編集部)。

動力部門のような補助部門が大きくなったら、どう扱いますか。

基準16(二)は、「工具製作、修繕、動力等の補助経営部門が相当の規模となつた場合には、これを独立の経営単位とし、計算上製造部門として取り扱う」とします12。「相当の規模」の線引きは書かれていないため、社内で基準を決めます。

まとめ

補助部門費の配賦は、補助部門費を製造部門へ配って製造部門費を求める第2次集計です。3方法は、補助部門どうしの用役をどこまで計算に入れるかが違い、製造部門費の合計はどの方法でも変わりません。設例では、直接配賦法だけで配ると、切削が中心の製品の原価が高く、組立が中心の製品の原価が低く出ました。差は、補助部門間の用役の大きさと、補助部門ごとの配り方の違いで決まります。相互配賦法を一度試算して差を確かめ、許容範囲なら手間の少ない方法を選び、決めた方法を継続して使います。

脚注

  1. 企業会計審議会「原価計算基準」(昭和37年11月8日)第2章7「実際原価の計算手続」。実際原価の計算では、製造原価を「まず費目別に計算し、次いで原価部門別に計算し、最後に製品別に集計する」。同第3節15「原価の部門別計算」は、部門別計算を「原価計算における第二次の計算段階である」とする(参考文献 R1)。↩
  2. Corporate Finance Institute「Cost Structure」の「Indirect Costs」「Cost Allocation」の各節は、間接費はまず特定・集計(pooled)されたうえで原価対象へ配賦されること、コストプールは配賦の元になる費用の集まりであることを説明する。同「Cost Allocation」は、原価対象を特定し、費用をコストプールに集計し、一定の基準で原価対象へ割り当てる手順を示し、コストドライバーの例に機械時間・直接作業時間を挙げる。いずれも一般的な概念の説明で、補助部門費の配賦方法(直接・階梯式・相互)は扱っていない(参考文献 R2・R3)。↩
  3. 原価計算基準 第2章第3節16(二)。補助部門を「製造部門に対して補助的関係にある部門」とし、補助経営部門を「自己の製品又は用役を製造部門に提供する諸部門」、その例に動力部・修繕部など、工場管理部門の例に工場事務部などを挙げる(参考文献 R1)。↩
  4. 原価計算基準 第2章第3節17は、部門個別費を発生した部門へ直接賦課し、部門共通費は「適当な配賦基準によつて関係各部門に配賦する」と定める。「第1次集計」「第2次集計」の名称は基準になく(基準15の「第二次」は、部門別計算が費目別計算の次の段階であることを指す)、教科書の用語である。論文での用例として、籏本(2025)は「第1次集計,つまり部門共通費配賦後の部門費」と書く(15頁。参考文献 R1・R4)。↩
  5. 原価計算基準 第2章第3節18(二)(参考文献 R1)。前文は、基準が「個々の企業の原価計算手続を画一に規定するものではなく、個々の企業が有効な原価計算手続を規定し実施するための基本的なわくを明らかにしたもの」だとする。↩
  6. 籏本智之「相互配賦法の学習困難性」『原価計算研究』49巻1・2号(2025年)22〜25頁(V「自部門への提供を考慮する必要のないことの証明」)。自部門への配賦を考慮しても製造部門への配賦額は変わらず、「自部門への配賦は無視しても構わない」とする(参考文献 R4)。↩
  7. 籏本(2025)16〜17頁。連続配賦法の各回の配賦額を合計して整理すると連立方程式(式(3))になるとし、「連続配賦法と連立方程式法の原理は同じなのである」と書く。補遺(27頁)は、連続配賦法・連立方程式法・試行錯誤法は「本質的に同じ」とする(参考文献 R4)。↩
  8. 日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」の「工業簿記・原価計算」(2021年12月10日最終改定、2022年4月1日施行)1頁、「第九 部門費計算」の「5.補助部門費の製造部門への配賦」。2級の欄に「直接配賦法」「相互配賦法」を、1級の欄に「純粋の相互配賦法」「階梯式配賦法」「複数基準配賦法」を掲げる。いずれの方法の計算手順も定義していない(参考文献 R5)。↩
  9. 原価計算基準 第2章第4節33(三)。部門間接費の予定配賦率は、「一定期間における各部門の間接費予定額又は各部門の固定間接費予定額および変動間接費予定額を、それぞれ同期間における当該部門の予定配賦基準をもつて除して算定する」とする(参考文献 R1)。↩
  10. 原価計算基準 第4章45(七)。補助部門費配賦差異を「補助部門費を予定配賦率をもつて製造部門に配賦することによつて生ずる原価差異」とし、「一期間におけるその補助部門費の配賦額と実際額との差額として算定する」とする(参考文献 R1)。↩
  11. 原価計算基準 第2章第3節18(二)の第2段落、同第4節33(七)(参考文献 R1)。33(七)は、補助部門費を製造部門に配賦しないで直接に指図書へ配賦する場合を扱う。↩
  12. 原価計算基準 第2章第3節16(二)(参考文献 R1)。↩

参考文献(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。