この記事で分かること
- 運用会社を自由に乗り換えられるチリとペルーの確定拠出(DC)年金で、加入者の資金が過去の成績の良い運用会社へ動いていたという研究の結果と、その大きさ
- チリで測ると、成績を追って乗り換えた人がその後の12か月に得たリターンの差はごく小さかったことと、流出の圧力が運用会社の債券の選び方を変えたという分析の読み方・限界
- 日本の企業型DC・iDeCoとの制度の違いを法令と公式資料で確かめたうえで、商品の選定・運営管理機関の評価・投資教育で確かめる点(設例つき)
想定読者:企業型DCを運営する人事・年金担当、運営管理機関や運用会社でDC向けの商品・情報提供を担う人、iDeCoの相談を受ける金融機関の担当者
前提知識:確定拠出年金の仕組み(事業主の掛金と加入者の運用指図)、投資信託のリターンと信託報酬の基本
企業型DCの商品モニタリングの会議で、直近1年のリターンが同じ分類の下位に沈んだ投信を除外の候補にという声が出る。iDeCoの窓口には、知人の口座のほうが増えているので金融機関を替えたいという相談が来る。どちらも過去の成績を見て資金の置き場所を変える判断だが、それは加入者の老後資金にとって得になるのか。そして、動く資金に向き合う運用会社の行動はどう変わるのか。
加入者が運用会社を直接選び直せる中南米の年金制度のデータでこれに答えようとした研究を中心に、米国の先行研究と日本の制度を並べ、実務の確認手順に落とし込む。
この記事が主に参照する研究
Bryan Gutierrez Cortez、Victoria Ivashina、Juliana Salomao(2025)「DC年金における成績に応じた資金の移動(Performance Capital Flows in DC Pensions)」NBER Working Paper No. 33693
- 公表:最古の稿は2024年2月付、6月に NBER の会議で報告、7月に CEPR DP。参照した版:NBER WP(2025年4月)。査読:未査読(WP)
- データ:チリの年金監督庁の口座単位の月次データ(2009年2月〜2019年10月、963万口座)と、ペルーの監督庁の運用会社単位の月次データ(1996年3月〜2020年3月)
- 方法:資金の純流入を前月の成績の順位に回帰(固定効果つきの相関の分析)。運用会社の行動は、新規参入を決めた入札を準外生的な衝撃とみなした事象分析
- 位置づけ:投信研究で使われてきた「資金と成績」の分析手法を、加入者が運用会社を選ぶDC年金に当てはめた、新しいデータによる実証
チリとペルーでは、加入者が運用会社そのものを選び直せる
チリは1980年11月、ペルーは1992年12月に法律を定め、民間の年金運用会社(AFP)が個人勘定の積立金を運用する制度に移った1。加入者が選ぶのは二つである。一つはリスクの段階が異なるプランで、チリでは2002年から各社にAからEの5種類の提供が義務づけられ、Aが最も株式の比率が高く、Eはほぼ国内債券で運用する。もう一つが運用会社で、標本の時点でチリは6社、ペルーは4社だった2。
プランの中身は規制で細かく決められ、どの運用会社の同じプランも互いに代わりになるよう設計されている。それでも成績には差が出る。同じプランの中で最も成績の良い運用会社と悪い運用会社の差は年1〜2%ポイントで、平均リターンの約5分の1に当たった3。運用会社の収入は固定の手数料で、成績に連動する報酬はない。手数料はチリでは賃金に比例し、ペルーでは2013年6月から賃金と口座の残高に連動する混合方式も導入された。標本の期間、乗り換えに直接の費用はかからず、手続きはオンラインででき、監督当局がプランごとに各社の成績の順位を公表していた4。
米国の401(k)では事業主が運用会社と品揃えを決めるため、資金の動きに加入者の選択と事業主の入れ替えが混ざる。事業主が関与しないチリとペルーでは、個人の選択だけを取り出せると著者らは説明する5。
分析の道具は、投信研究でおなじみの「資金と成績の関係」である。成績の順位が上がった運用先に資金がどれだけ集まるかを測り、順位のある点より上と下で傾きを分けて推定する(区分線形の回帰。チリでは順位の中央0.5を境にする)。上位の側で傾きが急なら、資金は「勝ち組」に偏って集まる凸型の関係になる6。
研究が示した結果:資金は成績上位の運用会社へ動いていた
まず規模である。チリの963万口座のうち176万口座(18.3%)が、11年の間に少なくとも1回運用会社を替えた7。運用会社の間を動いた資金の総額は、チリで制度全体の資産の月0.40%(年約5%)、ペルーで月0.61%(年7%超)に達した8。運用会社ごとの純流入(流入−流出)の年平均は資産の0.51%(チリ)と0.31%(ペルー)で、著者らは米国の投信の間の純フロー(2021年、1.5%)の約3分の1と5分の1に当たると比べている9。乗り換えた人の62.75%は1回だけだが、乗り換えの確率は20代半ばから30代半ばで最も高く、四半期の確率の中央値は標本の初めの0.5%未満から終わりには1%へ上がった10。プランは替えない人が多く、プランAで66%、プランBで51%が同じプランにとどまった11。
次に成績との関係である。前月の順位が最上位だった運用会社には、チリで資産の月0.517%(年換算約6.4%)、ペルーで月0.581%(同約7.2%)の純流入があった12。規模や手数料などと固定効果を入れた回帰では、チリの順位の係数は0.264(t値6.37)で、順位が1つ上がるごとに月0.0528%の純流入が増える計算になる。区分線形にすると、上位の側の係数は0.398(t値4.84)、下位の側は0.130(t値1.38)で、下位の側では統計的に有意な関係は確認されなかった。上位の側で順位が1つ上がると月約0.08%(単純な12倍で年約0.96%)の流入増に当たる。上下の傾きが等しいという仮説は資産ベースでp値0.087(10%水準)で棄却され、加入者の人数ベースではより明確に棄却された13。ペルーでも上位の側の係数は1.217(t値5.60)と大きかった14。手数料の高い運用会社ほど純流入が少ないという関係も、チリの回帰で有意に出ている15。
反応の速さを見たのが図1である。順位を何か月前の値にするかを変えた別々の回帰では、2か月前の順位の係数が最も大きく、6か月前では有意でなく、12か月前では再び5%水準で有意だった。好成績のあとの流入の推移を直接たどった推計ではない16。
悪い成績への反応もある。チリでは、3か月続けてリターンが下がったプランの流出が、そうでないプランより月0.0848%多かった(t値3.69)。ただしペルーでは統計的に有意な関係は確認されなかった(係数−0.0762、t値−0.65)17。またチリでは、プランの切り替えを推奨する有料の助言会社(Felices y Forrados)の推奨時期に、人数で見た上位への流入の反応が有意に強まった(資産額は非有意)18。
成績を追った乗り換えは、その後の成績にどれだけつながったか
資金が成績を追うことと、追った人が報われることは別の問題だ。投信の理論では、運用規模が大きくなるほど超過収益(アルファ)を上げにくいとすれば、資金が過去の成績に合理的に反応しても将来の成績は予測できない(Berk and Green 2004)。著者らはこの理論と、米国のDC資金が翌年の投信の成績と有意な関係を持たなかったという先行研究を引いたうえで、乗り換えの損得を測った。チリに限った分析である19。
乗り換えの1か月前の時点で、新しい運用会社の過去の年率リターンは元の運用会社より、プランごとの平均で0.06〜0.12%ポイント高かった。ところが乗り換え後12か月の実現リターンの差は0.003〜0.05%ポイントにとどまった20。
著者らは乗り換えの利得を「ごくわずか」と結論し、プランCで40年間毎年乗り換えても累積の上乗せは約2.0%にすぎないと例示する21。序論では、加入者は将来12か月のリターンが最も高い運用会社へ移っているわけではないとも書いている22。図2の差には統計的な検定が示されておらず、手数料の差も含まれていない点は割り引いて読む必要があるが、同じプランの中で年1〜2%ポイントあった成績の差のうち、追いかけた先で残ったのはわずかだったと読める(編集部の読み方)。
米国のDCにはSialm、Starks、Zhangの研究がある。米国の投信に入るDC経由の資金は、DC以外の資金より成績に敏感だったが、その主因はプランのスポンサー(事業主)による商品の入れ替えで、加入者自身は惰性的だった。DC経由の資金の流入は、将来の成績を有意に予測しなかった23。追う主体は違っても、追った先の成績が約束されない点は共通する。
流出の圧力が、運用会社の債券の選び方を変えた
研究の後半は、資金の動きが運用会社の側に何をもたらすかを調べている。両国の監督当局は、新規加入者の運用会社を手数料の入札で決める制度を導入した。最低の手数料の入札者が新規加入者の既定の運用会社となる。最初の入札(チリは2010年2月に発表、ペルーは2012年12月)で、いずれも新しい運用会社の参入が決まった。著者らは、入札の時期が外から決まり結果も不確かだったことから、これを既存の運用会社の成績とは無関係な「乗り換えの圧力の高まり」とみなした24。実際、新しい運用会社の参入(営業開始)後6か月の運用会社の間の資金移動は、その前の6か月と比べてチリで33.15%、ペルーで39.04%増えた25。
利回りの比較期間は、営業開始後ではなく参入の発表後6か月(チリ2010年3〜9月、ペルー2013年1〜6月)である。発表時点の債券の保有をそのまま持ち続けたと仮定した仮想のポートフォリオと比べると、この期間の実際の債券の利回りは、チリで平均1.85%、ペルーで2.93%高かった(論文の表記。%ポイントの差か相対的な差かは本文に明示されていない)。1年前の同じ時期で行った比較(プラセボ)では、こうした差は見られなかった26。ペルーでは、参入の前後で最上位のAAA格の債券の比率が57.85%から55.23%に下がり(−2.62%ポイント)、BBB格は1.23%から2.18%に上がった27。
著者らは、流出の圧力には運用会社に最善を尽くさせる規律の面がある一方で、加入者がリスクを十分に測れない下では、見かけの利回りを上げるためのリスクテイク(リーチ・フォー・イールド)を促す面もあると解釈している28。
研究の対象・方法と、読むときの限界
第一に、これは未査読のワーキングペーパーで、同じ型の商品を各社が提供し、事業主が関与せず、乗り換えに直接の費用がかからないチリとペルーの制度での結果だ。著者らは他国の制度にも関係すると述べるが、検証したのは両国だけである29。
第二に、前半の回帰は固定効果を入れた相関の分析で、成績が乗り換えを引き起こしたという因果を識別したものではない。チリの区分線形の下位側や、ペルーの連続低下の係数は有意でなく、どの結果も同じ強さで出ているわけではない。第三に、乗り換えの損得(図2)は時系列平均の比較で、検定が示されていない。第四に、運用会社の行動の分析は各国1回の参入、6か月の期間に基づく。参入は手数料の競争も伴うため、利回りの変化のすべてを乗り換えの圧力で説明できるかには留保が要る(編集部の評価)。著者ら自身も、2010年のチリは株価が大きく上がった年で、それが利回りを追う別の理由になりうると認め、仮想のポートフォリオの基準時点で対処したと書いている30。
加入者が機敏に動くことの副作用を示した研究もある。Da、Larrain、Sialm、Tessadaは、同じチリで助言会社の推奨に従ったプラン間の切り替えが足並みのそろった大きな資金移動を生み、市場に価格の圧力をかけたことを示した31。
大手町プレップの考察:選ぶ側の物差しを「直 近の順位」から外す
ここからは編集部の推論で、含意は三つあると考える。一つ目は、「DCの加入者は動かない」という前提が、乗り換えが簡単で成績が比べやすい制度では成り立たないことだ。日本でも、加入者が規約の範囲で商品の配分を変えられる以上、同じ方向の動きが起きうる。ただし日本の加入者がどの程度成績を追うかは、この研究からは分からない。
二つ目は、追いかけた先に残る差が小さいなら、選ぶ側の物差しは直近の順位よりも、確実に効く差に置くべきだということだ。信託報酬などのコストは毎年確実に効く。成績の差は、翌年以降も続くかどうかを確かめてはじめて意味を持つ。同じ分類でもアクティブ運用とパッシブ運用では信託報酬の水準が違うので、比べる単位をそろえることも欠かせない。事業主が商品を入れ替えるときも同じである。
三つ目は、資金を集める圧力が運用者のリスクの取り方を変えうることだ。見られるのが順位だけなら、格付の低い債券やデュレーションの長い債券に寄せて見かけの成績を上げる誘因が生じる。評価する側は成績と一緒にリスクの変化を見る必要がある。
日本の企業型DC・iDeCoとの違いを確かめる
日本の制度は、研究の対象と大きく違う。企業型DCで運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に委託するのは事業主で、事業主は少なくとも5年ごとに運営管理業務の実施を評価し、必要があれば運営管理機関の変更などを講ずるよう努めなければならない32。加入者が選ぶのは、規約に基づいて提示された運用の方法(商品)で、その数は3以上35以下と定められている33。提示した商品を除外するには、その商品を選んでいる加入者等の3分の2以上の同意が要る34。事業主には、加入者の運用の指図に役立つ資料の提供など(いわゆる投資教育)を継続的に行う努力義務があり、運営管理機関は商品ごとに利益の見込みや損失の可能性などの情報を提供しなければならない35。
つまり企業型DCで、チリの「運用会社の乗り換え」に近いのは、事業主による運営管理機関の変更や商品の入れ替えと、加入者による商品間の配分の変更である。成績を追う判断の一部を事業主が担う点で、米国の401(k)の構図に近い(編集部の見立て)。その判断には受託者責任に近い慎重さと、企業年金のガバナンスとしての記録が求められる。
iDeCoでは、加入者自身が運営管理機関を指定し、その指定を変更できる36。ただし変更では、運用している商品を現金化するなどして移換の完了まで書類の提出から2〜3か月程度かかり、手数料がかかる場合もあると公式サイトが案内している。これは手続き全体の期間で、現金のままの期間は示されていない37。乗り換えに直接の費用がかからなかったチリとペルーとは、この点で前提が違う。
学習用の設例:小さな上乗せと確実なコストを比べる
学習用の設例(架空)
- 加入者Kの残高は1,000万円。追加の掛金はなく、20年間運用する
- 乗り換えない場合の年率リターンは3.0%と仮定する(20年後に1,806万円)
- 成績を追って乗り換えると、事後のリターンが年0〜0.10%ポイント上乗せされ、乗り換え先では信託報酬などのコストが年0〜0.30%ポイント余計にかかると仮定する
- iDeCoの運営管理機関を替える場合、資産が現金になる期間を2.5か月、現金の利息を0と仮定する(公式案内の2〜3か月は手続き全体の期間で、現金の期間は仮定)
上乗せの0.05%ポイントは図2の乗り換え後の差の最大値程度を借りた仮定で、将来の保証はない。図3は組み合わせごとの20年後の残高の差を示す。
上乗せが0.05%ポイントでコストの差がなければ+17.6万円だが、コストが年0.10%ポイント高い商品に移ると−17.5万円に変わる。0.10%ポイントの上乗せも、同じ大きさのコストの差でちょうど消える。成績の差は続くか分からないが、コストの差は毎年確実に効く。
iDeCoの運営管理機関の変更では、もう一つの費用がある。現金になる2.5か月の間、年3.0%の期待リターンを手放すとすると、その期待値は1,000万円×3.0%×2.5÷12=6.25万円になる。0.05%ポイントの上乗せの1年分(0.5万円)の約12.5年分に当たる。下落局面では現金化が有利に働くこともある期待値の比較だが、小さな成績差を理由にした乗り換えが割に合いにくいことは示せる。
明日から使える確認項目
- 企業型DCの商品モニタリングで、除外や追加の候補を挙げる基準が「直近1年の順位」だけになっていないかを確かめる。同じ分類の商品について、3年・5年の成績、ベンチマークとの差、コスト、運用体制の変化を並べ、上位と下位の顔ぶれが年ごとに入れ替わっていないか(成績の持続性)を見る。過去に除外した商品を比較から落とすと、サバイバーシップバイアスで残った商品の成績が良く見える点にも注意する。
- 同じ分類の候補の信託報酬を年率で並べ、成績の比較より先にコストの差を確定させる。設例では、年0.10%ポイントのコストの差だけで20年後の残高が−34.7万円変わった。
- 運営管理機関の5年ごとの評価では、加入者の配分変更の件数と方向(直近の上位商品への集中がないか)をデータで受け取り、投資教育の内容の見直しに使う。
- 投資教育や情報提供で過去の成績の順位表を示すときは、研究では追いかけた先の差が小さかったことと、乗り換えの前後で損得を比べる見方を併せて示す。直近の成績を過大に評価する行動ファイナンス上の偏りの可能性も論点になるが、この研究はそれを直接検証していない。
- iDeCoの運営管理機関の変更の相談には、「変えたい理由は成績か、手数料か、品揃えか」をまず尋ねる。理由が成績なら、資産が現金になる期間を運営管理機関に確かめ(公式案内の2〜3か月程度は手続き全体)、その機会費用と、口座管理手数料・信託報酬の差を数字で並べてから判断してもらう。
- DC向けの商品を運用・提供する側は、資金獲得の局面で、同じ分類のファンドの債券の格付構成や利回りがベンチマークから離れていないかを月次で確認する(研究ではペルーでAAA格の比率が−2.62%ポイント変化した。日本で同じことが起きるかは未検証)。
まとめ
運用会社を自由に選び直せるチリとペルーのDC年金では、加入者の資金は前月の成績が上位の運用会社へ動き、その反応は上位の側で強く、数か月前の順位にも及んだ。しかしチリで測ると、乗り換えた人がその後12か月に得たリターンの差はごく小さかった。流出の圧力が高まった局面では、運用会社が利回りの高い、格付の低い債券へ寄せた形跡も見られた。結果は未査読の、制度の条件が日本と大きく違う2か国の研究である。それでも、直近の順位で商品や運営管理機関を選び直す判断の前に、コストの差と成績の持続性を確かめるという手順は、日本の企業型DCとiDeCoでそのまま使える。
脚注
- R1(NBER WP 33693、2025年4月版)p.10〜11(2節)。チリの法律は1980年11月、ペルーは1992年12月に成立。ページはPDFの物理ページ(印刷ページ+1。以下同じ)。↩
- R1 p.12〜13(2節・表1・表2)。チリのプランB・C・Dは既定の選択肢で、年齢に応じて自動的にリスクの低いプランへ移される。ペルーは2005年から3種類、2012年に4種類目が加わった(p.12)。↩
- R1 p.7(1節)、p.21(4節・図6)。チリの2009〜2019年。図6は、2012年以降、手数料の高低や運用規模がリターンの差を説明しないことも示している(p.21)。↩
- R1 p.5(1節)、p.13〜14(2節)、p.21(4節)。チリの手数料は賃金に対する%。新規加入者は当初の運用会社に2年間固定される(チリは2010年、ペルーは2013年以降。p.14)。ペルーは2013年までは賃金に対する%のみで、2013年6月の改革で賃金と口座残高に連動する混合方式(mixed scheme)が導入され、2013〜2023年は選択制、2023年以降は義務(p.14)。↩
- R1 p.4〜5(1節)。↩
- R1 p.22〜24(4.1節・式2・式3)。純流入率=(流入−流出)÷(前月の残高×(1+当月のリターン))×100。順位は最下位0・最上位1。チリは順位0.5、ペルーは0.75で傾きを分ける。手法は Sirri and Tufano(1998)による。ただし表6(p.57)の注記はペルーでも Min(Rank, 0.5) と定義しており、本文 p.24 の0.75と一致しない(原論文内の不整合)。↩
- R1 p.14(3節)。チリの963万1,207口座のうち176万3,074口座。p.6 では「180万・18.3%」と丸めている。↩
- R1 p.15(3節・図2)。総額は運用会社からの流出(=流入)の合計で、純額ではない。↩
- R1 p.16(3節)。米国の数値は R1 が引く ICI Factbook(2022年版)による。↩
- R1 p.17〜18(3.1節・表3〈p.54〉・図4)。3回以上乗り換えた人は約20%。四半期の値は、監督当局の年齢別の四半期データによる(p.18 注17)。↩
- R1 p.20(3.1節・表4〈p.55〉)。↩
- R1 p.22(4節・図7・注18)。年換算は(1+月率)の12乗−1で、本稿の計算でも約6.4%・7.2%と一致した。↩
- R1 p.24〜25(4.2節)、表5(p.56)列1・列2・列6。運用会社6社で順位1つ分は0.2。月約0.08%は0.398×0.2で、本文の年0.96%は単純な12倍。上下の傾きが等しいという検定のp値は資産ベース0.087、人数ベース0.000。過去12か月のリターンの標準偏差を加えた列3でも同様。プランを替えない人に限った列4では上位側0.220が有意だが、上下の傾きの差の検定は棄却されない(p値0.493)。↩
- R1 p.26、表6(p.57)列2。ペルーは4社で順位1つ分は約0.333。本文の「月0.4%(年1.17%)」は年換算が月の値と整合しないため、本稿では係数だけを示した。↩
- R1 表5(p.56)列1。手数料(賃金に対する%)の係数は−0.366(t値−7.78)。R1 p.8 は、加入者が手数料の低い運用会社へ移る傾向があると述べる。↩
- R1 p.27(4.3節)、表7(p.58)列1〜5。上位側の係数は2か月前の順位の係数0.483、3か月前0.476、4か月前0.378、6か月前0.141(有意でない)、12か月前0.267(5%水準)。図1はこれに0.2を掛けた値。表7は説明変数(順位など)の時点を t−2、t−3、t−4、t−6、t−12 に替えた別々の回帰(p.58 表注)。↩
- R1 p.28(4.3節・式4)、表9(p.60)。チリは資産ベースの流出率。著者らは3か月分で約0.26%と換算している。↩
- R1 p.28〜29(4.4節)、表13(p.65)。倍率の記述に重複があり読み取りが難しいため、本稿では方向だけを示した。↩
- R1 p.29〜30(4.5節)。Berk, J. B. and R. C. Green(2004), Journal of Political Economy 112(6) と、Frazzini and Lamont(2008)の内容は R1 の要約による。米国のDCの先行研究は R2(本文も確認。脚注23)。↩
- R1 p.31(4.5節)、図8(p.49)。プラン別の過去の差はA 0.08、B 0.06、C 0.09、D 0.10、E 0.12、乗り換え後12か月の差はA 0.03、B 0.02、C 0.05、D 0.003、E 0.04(いずれも%ポイント、2009〜2019年の時系列平均)。この事後の損得の分析はチリに限る(“Our analysis is restricted to Chile”, p.31)。↩
- R1 p.31(4.5節)。(1+0.05%)の40乗−1で、本稿の計算では約2.0%。↩
- R1 p.8(1節)。この記述に対応する表は本文で特定できなかった。↩
- R2(NBER WP 19569、2013年10月版)p.2(要旨)、p.5〜6(序論)。1997〜2010年の米国の投信を対象に、401(k)の年次報告(Form 11-K)で事業主と加入者の行動を分けた。掲載誌版(Journal of Finance、2015年)の数値は確認していない。↩
- R1 p.31〜33(5節)。新規加入者は全加入者の約7%(チリ)・9%(ペルー)。参入したのはチリの Modelo とペルーの Habitat で、発表の5か月後・6か月後に営業を始めた(p.33)。↩
- R1 p.33(5節)。↩
- R1 p.34〜36(5節・図9〈p.50〉・図10〈p.51〉)。比較期間はチリ2010年3〜9月、ペルー2013年1〜6月。チリは債券中心のプランC・D・Eの確定利付商品、ペルーは制度全体の債券を等ウェイトで集計。図9の縦軸の利回りの水準(2.6〜3.0付近)からみて、本文の「1.85% higher」は相対的な差と読めるが、論文に明示がなく未確認。この比較期間は参入の発表後6か月(p.34)で、資金移動の比較(営業開始の前後6か月、p.33)とは期間が異なる。↩
- R1 表10(p.61)。S&Pの格付区分、比較期間は2012年6月〜2013年6月。本文 p.37 は「最上位の格付の比率が2%低下」と丸めている。↩
- R1 p.36(5節)。↩
- R1 p.5〜6(1節)。著者らは米国の個人退職勘定(IRA)や、日本・豪州・カナダの年金制度の個人単位の部分を例に挙げる。↩
- R1 p.34(5節)。2010年のチリの株式の12か月リターンは平均約45%。↩
- R3(NBER WP 22161、2016年4月版)p.2(要旨)・p.3(序論)。掲載誌版(Review of Financial Studies、2018年)は未読。R1 p.9 は、この研究がプラン間の移動を扱ったのに対し、同じ推奨が運用会社の間の移動も促したと述べる。↩
- R4 確定拠出年金法 第7条第1項・第4項(e-Gov法令検索の2026年4月1日施行の版)。↩
- R4 確定拠出年金法 第23条第1項、確定拠出年金法施行令 第15条の2(上限は35)。↩
- R4 確定拠出年金法 第26条第1項・第2項。通知から3週間以上で規約に定める期間内に意思表示がなければ、同意したものとみなすことができる。↩
- R4 確定拠出年金法 第22条(事業主の責務)・第24条(運用の方法に係る情報の提供)。↩
- R4 確定拠出年金法 第65条(確定拠出年金運営管理機関の指定)。↩
- R5(iDeCo公式サイト「よくあるご質問」)。運営管理機関を選ぶ判断材料として、口座管理手数料、運用商品(信託報酬の高低を含む)の種類、サービス内容を挙げている。同サイトの「運営管理機関は変更できますか」は、商品の現金化など資産・記録の移換処理の完了までに書類提出後2〜3か月程度を要すると案内する。手続き全体の期間であり、資産が現金のままの期間ではない。本文の設例の現金期間2.5か月は編集部の仮定。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Gutierrez Cortez, B., V. Ivashina and J. Salomao (2025), “Performance Capital Flows in DC Pensions,” NBER Working Paper No. 33693. DOI: 10.3386/w33693. 参照した版:NBER WP 版(2025年4月)。初版:CEPR Discussion Paper No. 19286(2024年7月、RePEc の書誌による)。査読:未査読(WP)。 nber.org (参照箇所:PDF の物理ページ p.2〜37(要旨・本文)、p.42〜61(図1〜10・表1〜10)、p.63〜65(表11〜13)。脚注1〜22・24〜31の根拠。図1・図2は表5・表7の係数と本文 p.31 の数値を基にした独自の図で、原図の転載ではない。閲覧日:2026年10月)
- R2 Sialm, C., L. Starks and H. Zhang (2013), “Defined Contribution Pension Plans: Sticky or Discerning Money?” NBER Working Paper No. 19569. DOI: 10.3386/w19569. 掲載誌版:Journal of Finance 70(2), 805-838 (2015), DOI: 10.1111/jofi.12232。参照した版:NBER WP 版(2013年10月)。査読:WP 版は未査読(掲載誌版は査読済み・未読)。 nber.org (参照箇所:p.2(要旨)、p.5〜6(序論)。脚注23の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Da, Z., B. Larrain, C. Sialm and J. Tessada (2016), “Coordinated Noise Trading: Evidence from Pension Fund Reallocations,” NBER Working Paper No. 22161. DOI: 10.3386/w22161. 掲載誌版:”Destabilizing Financial Advice: Evidence from Pension Fund Reallocations,” Review of Financial Studies 31(10), 3720-3755 (2018), DOI: 10.1093/rfs/hhy011。参照した版:NBER WP 版(2016年4月)。査読:WP 版は未査読(掲載誌版は査読済み・未読)。 nber.org (参照箇所:p.2(要旨)、p.3(序論)。脚注31の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 確定拠出年金法(平成13年法律第88号)第7条・第22条〜第24条・第26条・第65条、確定拠出年金法施行令(平成13年政令第248号)第15条の2。参照した版:e-Gov 法令検索(法は2026年4月1日施行、施行令は2026年10月1日施行の版)。 laws.e-gov.go.jp (参照箇所:脚注32〜36の根拠。施行令は https://laws.e-gov.go.jp/law/413CO0000000248。閲覧日:2026年10月)
- R5 国民年金基金連合会
「i DeCo公式サイト よくあるご質問」。 ideco-koushiki.jp (参照箇所:「運営管理機関はどのように選べばよいですか」「運営管理機関は変更できますか」。脚注37の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。