この記事で分かること
- 米国の上場企業の10-Kに書かれた経営者の説明(MD&A)から、無形資産への投資の集約度を語句の比率で測った研究の方法と、その比率が高い企業ほど評価倍率(トービンのQ)が高く、足元の収益性が低い傾向にあったこと
- 無形資産を知識・顧客・組織の3種類に分けると企業像が逆になり、「無形が多い=割高・赤字」とは一括りにできないこと。研究の限界と版による主張の違い
- 日本の有価証券報告書で使える数字(販管費の主要費目、研究開発費の総額)と、販管費の資本化の仮定で調整後PBRがどれだけ動くかを設例で確かめる手順
想定読者:上場企業を同業比較するアナリスト・IBD・FASの担当者、無形資産の厚い企業を評価する投資家、自社の開示を設計する経営企画・IR
前提知識:損益計算書の販管費とPBRの基本(研究の方法は本文で説明します)
ソフトウェア会社と機械部品メーカーを並べると、PBRが大きく違うことがある。違いの多くは、貸借対照表に載っていない資産、つまり社内で育てた技術・顧客基盤・業務の仕組みにあると説明される。ところが、それを数字で示そうとすると手掛かりは乏しい。研究開発費は費用として処理され、販管費の内訳も一部の費目しか分からない。同業2社のどちらが無形資産に厚く投資しているかを、何で比べればよいのか。
この問いに、財務数値ではなく経営者の「文章」から答えようとしたのが、米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とミシガン大学の研究者ら4名による論文「Intangible Intensity」である。2025年11月にワーキングペーパーとして公表され、本稿が読んだのは2026年2月の全米経済研究所(NBER)の版である1。
この記事が主に参照する研究
Andrea L. Eisfeldt、Barney Hartman-Glaser、Edward T. Kim、Ki Beom Lee(2026)「無形資産の集約度(Intangible Intensity)」NBER Working Paper No. 34882
- 公表:初版 2025年11月(SSRNのワーキングペーパー)。参照した版:NBER WP版(2026年2月)。査読:未査読
- データ:米国の上場企業(金融業を除く)の年次報告書10-K、2002〜2023年の企業・年64,028件
- 方法:10-KのMD&Aの語句を辞書で数えて無形資産投資の比率を作り、比率の高低で分けた企業群の財務指標の平均を比べる(相関の記述。因果の識別や差の検定は行っていない)
- 位置づけ:大規模言語モデル(LLM)と語句の埋め込みを使った新しい測定手法の提案。新しい理論の検証ではない
無形資産への投資は、なぜ財務諸表から見えにくいのか
無形資産への投資は、研究によって大きく三つに分けて論じられる。製品や技術の開発で積み上がる知識資本、広告・販売網・顧客関係で積み上がる顧客(ブランド)資本、そして業務の手順・物流・人材の配置といった組織そのものに宿る組織資本である。いずれも将来の収益を生む点で設備と似ているが、会計では多くが支出した期の費用になる。日本でも研究開発費は発生時に費用処理すると定められている2。
そのため研究者は、販管費
もう一つの壁は開示である。論文によれば、米国の会計基準は販管費やその内訳の区分表示を求めておらず、標本の企業・年のうち研究開発費の数字があるのは65%、広告費は41%にとどまる。2023年には両方を報告する上場企業は3分の1に満たず、報告しない企業の偏りも無作為ではないという5。数字が欠けるなら、経営者が費用の中身をどう説明しているかという文章の側から測れないか、というのが本研究の発想である。
10-Kの文章から「無 形の比率」をどう作ったか
手順は辞書を作る段階と、各社の報告書を数える段階に分かれる。まず10-Kの「経営者による財政状態及び経営成績の検討と分析」(Item 7、日本の有価証券報告書のMD&Aに相当)から、販管費や営業費用に触れた箇所を探し、軽量な大規模言語モデルに「費用の中身」「その費用が支える事業活動」「増減の理由」を述べた文だけを原文のまま抜き出させる。LLMは抜き出しにだけ使い、分類はさせていない6。
次に、抜き出した文から「広告宣伝費」「研究開発プロジェクト」のような2〜3語の名詞句を作り、頻度の上位10,000語句を辞書にする。語句を意味の近さで束ねて247のまとまりを作り、研究者がそれぞれを知識・顧客・組織・無形でない・不明の5区分に手で分類した。数える段階では抜き出した文ではなくMD&Aの全文を使う。抜き出し文で数えると、販管費の話ばかりなので無形の比率が機械的に高く出るからである7。
こうして作る指標θint(シータ)は、MD&Aに出てくる辞書語句のうち、無形の3区分に属する語句の出現回数の割合である。知識・顧客・組織の比率は無形語句の中での内訳で、合計は1になる。著者はθを、経営者の注意の配分であると同時に、販管費・営業費用のうち無形資産への投資にあたる割合の代理変数と解釈している8。
学習用の設例(架空):語句の数え上げ
業務ソフトのX社のMD&Aで、辞書に載る語句が160回出てきたとする。内訳は知識30回、顧客18回、組織12回、無形でない70回、不明30回。θintは(30+18+12)÷160=0.375、内訳は知識0.50・顧客0.30・組織0.20となる。自動車部品のY社が知識6回、顧客8回、組織18回、無形でない98回、不明30回なら、θintは0.200で、内訳の最大は組織の0.56である。比率なので、報告書の長さが違っても比べられる。
研究が示した結果:比率の高い企業は小さく若く、評価は高く、利益は薄い
θを計算できたのは64,028件のうち55,145件(約86%)で、欠けた年は企業ごとに補間して全件をそろえた9。θintの平均は0.194、中央値は0.143、四分位範囲は0.071〜0.291で、MD&Aの語句の半分近く(平均0.483)は無形でない区分だった。平均値は期間を通じて0.18〜0.20でほぼ横ばいである一方、2008年や2020〜21年には販管費の対総資産比率が上がってもθintは横ばいか低下しており、文章は支出額を機械的になぞってはいない10。
業種による差は大きい(図2)。医薬・石鹸・香水・たばこの業種は平均0.339で全体平均の約1.7倍、石油・石油製品は0.060、公益は0.081、鉄鋼は0.076にとどまった。内訳も業種の事業構造に沿い、顧客の比率は食品(0.484)や繊維・衣料(0.508)で高く、小売の知識の比率は0.032とほぼゼロだった11。
業種の影響を除くため、論文は毎年、業種の中でθintの高低により5つの群(五分位)に分け、群ごとに財務指標の平均を並べた(図1)。最も低い群Q1から最も高い群Q5へ、トービンのQは1.34倍から3.15倍へ上がり、簿価時価比率は0.773から0.535へ下がった。一方、収益性(利益に減価償却費を足して前期の総資産で割った比率)は0.073から−0.232へ低下し、Q5の平均は赤字だった。Q5は総資産が小さく、企業年齢は平均12.6年(Q1は24.5年)と若い。現金の対総資産比率は0.106から0.475へ高まり、負債比率は0.313から0.148へ下がった12。
著者は、無形投資が費用処理されるため利益も簿価も投資の規模を過小に示し、θintの高い企業は利益化の前の成長段階にあると解釈している。販管費の100%を積み上げた無形資産を簿価に足した「無形調整後」の簿価時価比率でも、Q1の2.45に対しQ5は1.76と差は残った13。
より実務的に興味深いのは、内訳で分けたときに企業像が反転することだ(表1)。知識の比率が高い群ではトービンのQが1.38倍から2.68倍へ上がり収益性はマイナスへ沈むが、顧客の比率が高い群ではQが2.39倍から1.70倍へ下がり、収益性は−0.112から0.047へ上がった。顧客型は広告費の対売上高比率が高く負債も多めで、組織型は総資産が大きく有形固定資産の比率も高い、成熟した大企業の姿に近い14。
表1 無形の「種類」で逆になる企業像(各内訳の最低分位Q1→最高分位Q5)
表は横にスクロールできます →
| 指標 | 知識の比率 | 顧客の比率 | 組織の比率 |
|---|---|---|---|
| トービンのQ(倍) | 1.38 → 2.68 | 2.39 → 1.70 | 2.05 → 1.73 |
| 収益性 | 0.074 → −0.171 | −0.112 → 0.047 | −0.039 → 0.041 |
| 現金÷総資産 | 0.12 → 0.40 | 0.31 → 0.17 | 0.27 → 0.16 |
| 負債÷総資産 | 0.27 → 0.19 | 0.21 → 0.26 | 0.21 → 0.27 |
| 広告費÷売上高 | 0.031 → 0.043 | 0.026 → 0.040 | 0.037 → 0.030 |
| 有形固定資産÷総資産 | 0.55 → 0.40 | 0.48 → 0.50 | 0.46 → 0.52 |
| 総資産の対数 | 6.80 → 5.65 | 5.87 → 6.38 | 5.90 → 6.60 |
著者は顧客型について、無形調整後の簿価時価比率が1.98から2.74へ上がることから、市場は顧客資本を高成長の選択肢より事業を続けるための費用に近いものとして割り引いているように見える、と留保付きで述べている15。また、θintと知識の比率の相関は66.7%と高く、内訳同士は互いに負の相関(知識と組織で−51.4%)を示したことから、企業は一つの無形戦略に集中する傾向があると解釈している16。
研究の対象・方法の限界と、版による違い
結果は、英語で書かれた米国の10-K(2002〜2023年、金融業を除く)についてのものである。分析は群ごとの平均の比較で、群の間の差が統計的に有意かどうかの検定も、θが株価や業績の原因であるかの識別も行っていない。著者自身、θは戦略的な伝え方や将来の見通しを反映している可能性があり、会計上の代理変数を超える情報を持つかは実証上の問いだと書いている。業種分類の正確さに結果が左右される点も認めている17。
版の違いにも注意が要る。2025年11月のSSRN初版の要旨は、θが標準的な会計指標にない将来の収益性の情報を含むと述べていた。しかし本稿が読んだ2026年2月版の要旨と本文にはその主張も検証も無く、将来の業績や株式リターンを予測するかは今後の課題として挙げられている。本稿では「文章の指標が将来の業績を予測する」とは扱わない18。さらに、本文中の数値と表の値が一致しない箇所が複数あり、本稿は表の値を使った(脚注12・14)。
評価への含意を考えるうえでは、同じ著者の一部による先行研究が参考になる。簿価からのれんを引き(買収の影響を抑え、無形資産の二重計上を和らげるためと説明している)、販管費の100%を積み上げた無形資産を足して作った割安株の指標は、従来の指標と相関76%と近いが、前者を買い後者を売る組合せは年平均2.11%の収益を上げたという19。一方で前述の退出価格の研究は、研究開発の償却率がヘルスケアで33%(従来の想定17%)、ハイテクで42%(同28%)と高いと推定し、無形資産の推計額は従来より平均15%小さくなったとしている20。積み上げの割合と償却率の置き方には、研究者の間でも幅がある。
大手町プレップの考察:文章の比率は「何 に注意を向けているか」の物差し
以下は編集部の見方である。第一に、θは支出の金額ではなく、MD&Aの中で経営者がどの活動に言葉を割いたかの比率である。著者が示した危機時の乖離のように、同じ会社でも書き方の方針が変われば値は動く。単年の水準より、同じ会社の推移と、数字(研究開発費・広告費・人件費)の推移が同じ方向に動いているかを見るほうが情報になると考えられる(仮説)。
第二に、「無形が多いから割高でも説明がつく」とは一括りに言えない。研究結果では、知識型は高い評価と赤字の組合せ、顧客型は低めの評価と黒字の組合せで、評価倍率との関係が逆向きだった。PBRの高さを無形資産で説明するなら、どの種類の無形資産かまで示す必要がある。
第三に、内訳3つは合計が1になる比率なので、互いの負の相関の一部は定義から機械的に生じる。「企業は一つの戦略に集中する」という著者の解釈は、比率でなく金額の情報と合わせて確かめるまで、強い結論とは受け取らないほうがよいと編集部は考える。
日本の実務への応用:有報で使える数字と、使えない部分
日本の開示は、米国より数字で分解しやすい部分がある。連結財務諸表規則は、販管費を一括して表示する場合に主要な費目と金額の注記を求め、主要な費目には退職給付費用・引当金繰入額(少額のものを除く)と、販管費合計の10%を超える費目が含まれる。また一般管理費と当期製造費用に含まれる研究開発費は、その総額を注記しなければならない21。販管費に含まれる広告宣伝費や給料手当は10%を超えれば金額が分かり、研究開発費は売上原価側に入った分も総額でつかめる。
ただし、日本企業では研究開発費の一部が当期製造費用に入るため、販管費だけを積み上げると知識資本の一部を取り落とす(編集部の推論)。先行研究も、費用を販管費と売上原価のどちらに入れるかは業種で系統的に違うと指摘しており、業種の中で比べる理由の一つになっている22。
文章の側では、有価証券報告書のMD&Aは経営者の視点で業績の要因を分析し、成長投資への支出を研究開発費を含めて経営戦略と関連付けて説明することが望ましいとされている23。論文の辞書は英語の名詞句なので日本語の報告書にはそのまま使えないが、「何の費用が、どの事業活動のために、なぜ増えたか」を読む視点は同じである。有価証券報告書を読む際に、費用の説明が知識・顧客・組織のどこに向いているかを書き出すだけでも、数字の注記と突き合わせる材料になる。
設例:販管費を資本化する仮定で、PBRはどこまで動くか
文章で無形の厚みを見当付けたら、次は金額の感応度である。研究の「無形調整後」の考え方を日本の架空企業に当てはめる。手順は、ROICの正常化で使う研究開発費の資本化調整と同じ形の積み上げである。
学習用の設例(架空):C社の前提
- 時価総額2,400億円、簿価純資産900億円、のれん100億円、営業利益150億円(10年目)
- 販管費は1年目200億円、年5%で増え、10年目310.3億円。研究開発費のうち当期製造費用に入る分は毎年30億円(販管費に含まれる研究開発費も別に分かり、総額注記から逆算できると仮定)
- 無形資産=前年残高×(1−償却率)+販管費×資本化割合。初期残高は1年目の資本化額÷(成長率+償却率)。税効果は考えない
開示どおりのPBRは2.67倍、のれん控除後の純資産ベースでは3.00倍である。販管費の30%を償却率20%で積み上げると、帳簿外の無形資産は391億円となり、調整後PBRは2.02倍に下がる。研究の置き方である100%なら無形資産は1,303億円、調整後PBRは1.14倍で、1倍近くまで下がる。製造費用に入った研究開発費も加えると、30%の場合で1.79倍である。
表2 設例:販管費を無形資産とみなす割合と償却率で変わる調整後PBR
表は横にスクロールできます →
| 償却率\資本化割合 | 20% | 30% | 50% | 100% |
|---|---|---|---|---|
| 15% | 2.13倍 | 1.86倍 | 1.49倍 | 0.99倍 |
| 20% | 2.26倍 | 2.02倍 | 1.65倍 | 1.14倍 |
| 33% | 2.47倍 | 2.27倍 | 1.95倍 | 1.45倍 |
表2のとおり、資本化割合20%・償却率33%なら2.47倍、100%・15%なら0.99倍で、同じ会社の「本当の」PBRは仮定しだいで2倍以上違う。損益にも影響があり、30%の場合は10年目の資本化額93.1億円から償却費74.5億円を引いた分だけ営業利益が増え168.6億円に、100%なら212.1億円になる。販管費が伸びている会社ほど、資本化すると利益が増える方向に働く。
この計算で分かるのは無形資産の「大きさ」の幅であって、その価値ではない。積み上げた支出が将来の収益を生むかは別の問題で、研究で知識型と顧客型の評価が逆向きだったことを踏まえると、どの種類の支出を積み上げたかを併記すべきである。
明日から使える確認項目
- 研究開発費の総額注記から総額を5年分並べ(販管費分が別に開示されていれば製造費用分も区分する)、広告宣伝費・人件費は主要費目注記で開示された費目と対象範囲(販管費に含まれる分に限られる)を確かめたうえで比較できる範囲で並べ、売上高比率の推移を同業と比べる。
- MD&Aの費用の説明を、知識(開発・技術)・顧客(広告・販売・顧客獲得)・組織(物流・業務の仕組み・人材配置)に振り分けて文を数え、前年からの変化が数字の変化と同じ向きかを確かめる。食い違えば「何が増えた結果の費用増か」をIRに質問する。
- PBRやPERの高さを無形資産で説明する資料には、資本化割合(20〜100%)と償却率(15〜33%)の感応度表を付け、結論が仮定の範囲で変わらないかを示す。表2の幅は編集部の仮の目安で、研究が検証した範囲ではない。
- のれんを引いてから無形資産を足しているかを確かめる(本稿の設例も、研究の定義にならってのれんを控除している)。
- 比較は業種の中で行う(EDINETで同業の複数年度を同じ物差しで並べると作業が速い)。費用を販管費と売上原価のどちらに入れるかが会社によって違う場合は、研究開発費の総額注記で補う。
よくある質問
この指標で割安株や成長株を選べますか。
本稿が読んだ版では、指標が将来の業績や株式リターンを予測するかは検証されておらず、今後の課題とされています。研究が示したのは、同じ時点での財務指標との対応関係です。
日本の有価証券報告書に同じ方法を使えますか。
辞書は英語の語句で作られているため、そのままでは使えません。日本語で同じ手順を組むことは考えられますが、その有効性はこの研究では確かめられていません。当面は、文章の振り分けと数字の注記を突き合わせる使い方が現実的だと考えます。
まとめ
米国の上場企業の10-Kでは、MD&Aに占める無形関連の語句の比率が高い企業ほど小さく若く、トービンのQが高く、足元の収益性は低かった。ただし無形を知識・顧客・組織に分けると評価との関係は逆になり、無形の多さだけで割高を説明することはできない。研究は相関の記述で、版によって主張が変わった点にも注意が要る。日本では販管費の主要費目と研究開発費の総額の注記が使えるので、文章の振り分けと数字を突き合わせ、資本化の仮定の幅を示したうえで評価に使うことを編集部は勧める。
脚注
- R1(NBER WP w34882, 2026年2月)PDF p.1〜2(表紙・要旨)。NBER の WP は査読を経ていない旨が表紙に明記されている。初版は R2(SSRN 5779844。Date Written 2025年11月20日、Posted 2025年11月27日、49ページ。日付は Internet Archive の保存版〔2025年12月4日取得〕と Crossref の登録日で確認)。同じ題名・データの前身稿は、NBER 版の謝辞・参考文献と共著者の CV では見つからなかった(2026年10月25日確認)。所属は R1 p.2 による。ページは PDF の通し番号(以下同じ)。↩
- 企業会計審議会「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」(1998年3月13日)三2。米国でも研究開発費・販管費は費用処理され貸借対照表に載らないことは、R1 p.19 と R4(NBER WP w25960)p.3 脚注1の記述による。↩
- R3(NBER WP w28056, 2020年11月・2021年11月改訂版)p.5(30%は少数の製薬会社から較正された値であり、販管費の100%を使うとする理由)、p.9〜10(簿価からのれんを引き、販管費を償却率20%・初期の成長率10%で積み上げる方法)。R1 も無形資本を販管費の100%・償却率20%で積み上げている(表B.3 注、p.44)。↩
- R4(Ewens, Peters and Wang, NBER WP w25960, 2019年6月・2023年10月改訂版)p.4。M&A・清算・倒産の際の価格から推定した販管費の資本化割合は28%で、従来の30%に近いが、業種で20%(消費財)〜51%(ヘルスケア)と異なる。↩
- R1 p.5(米国の会計基準は販管費やその内訳の区分報告を求めないこと〔Markovitch et al. 2020 の引用〕、研究開発費65%・広告費41%)、p.6〜7(2.1節・図1。2023年の報告率は研究開発費約70%・広告費約40%、両方は3分の1未満、販管費は近年約90%。欠損は選択的)。↩
- R1 p.8(2.2節。軽量 LLM の gemma3n で「定義」「事業上の理由」「増減の理由」の3種の文を抜き出す)、p.35(付録 A.1。LLM は抜き出しにだけ使い分類には使わない)。↩
- R1 p.9〜10(2.3節。名詞の2〜3語句、上位10,000語句、247のコミュニティを研究者が5区分に分類。大規模な LLM に分類させても結果は同様と著者)、p.11・p.38(採点に MD&A の全文を使う理由)。↩
- R1 p.13(式3・4。θint=無形語句の出現回数÷辞書語句の出現回数。知識・顧客・組織は無形語句の中の内訳で合計1)。解釈は同ページ(注意の配分の指標、および販管費・営業費用のうち無形投資の割合の代理変数)。↩
- R1 p.13〜15(3.1節・表1)。企業・年64,028件(年平均2,910件)のうち θ を計算できたのは55,145件。割合(約86%)は表1の件数からの計算で本文 p.13 の記載と一致するが、p.5 は「84%(補間後98%)」と記載しており食い違う。補間後の割合も、p.13〜14 は100%(全件)、p.5 は98%で食い違う。本文は p.13〜14 と表1に従った。↩
- R1 p.14〜15(表2・図4)。四分位範囲は P25 と P75。内訳の平均は顧客0.342・知識0.263・組織0.367。販管費の対総資産比率は約40%で推移(図4下段、p.14)。著者は単位が違うため直接は比べられないと断っている。↩
- R1 p.15〜16(3.2節・図5)と表B.2(p.42〜43)。業種は Fama-French 17業種(金融を除く。p.15 脚注9)。本文は医薬等を「0.35〜0.40、全体平均の約2倍」と記述。倍率1.7倍は表B.2 と表2の平均からの編集部計算。組織の比率は石油(0.573)などで高いが、著者は物流関連の語句が組織に分類されるためとみている(p.16)。↩
- R1 p.19〜20(4.1.1節・表3)。各年、業種の内側で五分位に分け、等加重平均、変数は1%で winsorize。群の差の統計的検定は示されていない。収益性は(特別項目前利益+減価償却費)÷前期総資産(表B.3)。本文 p.19 は収益性を「0.059%から−0.258%」、無形投資率を0.244→0.296、有形投資率を0.092→0.152と記載するが、表3はそれぞれ0.073→−0.232、0.267→0.356、0.102→0.222で一致しない。本稿は表の値を使った。↩
- R1 p.19(会計処理の非対称の解釈)、p.21〜22(利益化前の成長企業という解釈)、表3(無形調整後の簿価時価比率)。無形調整後の簿価時価比率=(簿価純資産+無形資本−のれん)÷時価総額(表B.3、p.44)。↩
- R1 表5〜7(p.26〜28)と4.1.2節(p.20〜24)。知識の比率の収益性は表5で0.074→−0.171、本文 p.20 は0.049→−0.198。組織の比率の収益性は表7で−0.0387→0.0408、本文 p.21 は−0.063→0.0177。いずれも表の値を使った。顧客の比率が高い群の広告費÷売上高は0.0261→0.0395、負債÷総資産は0.21→0.258(表6)。↩
- R1 p.23(4.1.2節)。原文は “seems to indicate” と留保している。↩
- R1 表4(p.24)と p.24 の解釈。θint と顧客の比率の相関は−19.9%、組織の比率とは−30.8%、知識と顧客は−34.8%、顧客と組織は−43.9%。↩
- R1 p.14(θ が会計上の代理変数を超える情報を持つかは実証上の問い)、p.25(業種分類の正確さ)。対象は p.4・p.7〜8・p.15 脚注9。↩
- R2(SSRN 5779844 の要旨。Internet Archive の保存版で確認。初版の本文は未読)と R1 p.2(要旨)・p.30(5章。将来の業績・投資・株式リターンの予測は今後の課題)の比較。↩
- R3 p.6。のれんを控除する理由(合併の影響を抑え、無形資産の二重計上を和らげる)は p.9〜10。対象は米国株(主な標本は1975年以降、p.10)。標準偏差は6.53%。相関の記述は同ページ。価値因子の収益は株式ポートフォリオの過去の実績で、本研究(R1)の θ とは別の指標である。↩
- R4 p.2(要旨。推計額は平均15%小さい)、p.4(償却率)。↩
- 連結財務諸表規則 第55条・第55条の2(e-Gov 法令検索、2026年10月25日確認)。個別の財務諸表は財務諸表等規則 第85条・第86条で同旨(主要な費目には減価償却費・引当金繰入額(少額のものを除く)と販管費合計の10%を超える費目が含まれる。連結財務諸表を作成している場合、個別での研究開発費の注記は要しない)。↩
- R3 p.6(販管費と売上原価への費用の配分が業種で系統的に違うため、業種の中で並べると割合の違いが打ち消される、という説明)。↩
- 金融庁「記述情報の開示に関する原則」(2019年3月19日)3-1(p.15)・3-2(p.17)。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Eisfeldt, A. L., B. Hartman-Glaser, E. T. Kim and K. B. Lee (2026), “Intangible Intensity,” NBER Working Paper No. 34882. DOI: 10.3386/w34882. 参照した版:NBER WP 版(2026年2月、45ページ)。査読:未査読(WP)。 doi.org (参照箇所:PDF p.1〜30(本文)、表1〜7(p.15・20・24・26〜28)、図1・図4・図5、付録 A.1(p.34〜38)、表B.2・B.3(p.42〜44)。脚注1・2・3・5〜18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R2 Eisfeldt, A. L., B. Hartman-Glaser, E. T. Kim and K. B. Lee (2025), “Intangible Intensity,” SSRN Working Paper No. 5779844. DOI: 10.2139/ssrn.5779844. 参照した版:SSRN の掲載ページ(Date Written 2025年11月20日、Posted 2025年11月27日)の Internet Archive 保存版(2025年12月4日取得)。本文は未読。査読:未査読(WP)。 papers.ssrn.com (参照箇所:要旨と日付。初版の日付と、版による主張の違いの確認に使用。脚注1・18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Eisfeldt, A. L., E. Kim and D. Papanikolaou (2020), “Intangible Value,” NBER Working Paper No. 28056. DOI: 10.3386/w28056. 参照した版:NBER WP 版(2020年11月初版、2021年11月改訂版)。査読:本稿が読んだ版は未査読(WP。Critical Finance Review 11(2), 2022 に掲載。掲載誌版は未読)。 nber.org (参照箇所:PDF p.2(要旨)、p.5〜6、p.9〜10。脚注3・19・22の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 Ewens, M., R. H. Peters and S. Wang (2019), “Measuring Intangible Capital with Market Prices,” NBER Working Paper No. 25960. DOI: 10.3386/w25960. 参照した版:NBER WP 版(2019年6月初版、2023年10月改訂版)。査読:本稿が読んだ版は未査読(WP。Management Science に掲載。掲載誌版は未読)。 nber.org (参照箇所:PDF p.2〜5(要旨・1章)。脚注2・4・20の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R5 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)第55条・第55条の2。e-Gov 法令検索(2026年8月7日施行の改正を反映した版)。 laws.e-gov.go.jp (参照箇所:販管費の主要な費目の注記と研究開発費の総額の注記。脚注21の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R6 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)第85条・第86条。e-Gov 法令検索(2026年8月7日施行の改正を反映した版)。 laws.e-gov.go.jp (参照箇所:個別財務諸表での同旨の規定。脚注21の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R7 企業会計審議会「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」(1998年3月13日)。 fsa.go.jp (参照箇所:三2(発生時費用処理)、四1(研究開発費の総額の注記)。脚注2の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R8 金融庁
「記 述情報の開示に関する原則」(2 019年3月19日)。 fsa.go.jp (参照箇所:3-1(p.15)、3-2(p.17)。脚注23の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。