この​記事で​分かる​こと

  • NOMURA-BPI総合が何を測る指数か(国内の公募利付債券の投資収益指数)
  • 国内債券運用のベンチマークとして、超過収益・デュレーション管理に使われる流れ
  • デュレーションの差が収益率の差になる整数設例(金利が10bp上昇した場合)
  • ベンチマークの限界(公募債のみ・指数と実際のポートフォリオの差)

30秒で​分かる​定義

NOMURA-BPI(ノムラ・ボンド・パフォーマンス・インデックス、読みは「のむらびーぴーあい」)とは、国内で発行された公募利付債券の市場全体の動向を表す投資収益指数で、国内債券運用の代表的なベンチマークです。野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社が作成・公表し、一定の組み入れ基準に基づいて構成した債券ポートフォリオのパフォーマンスをもとに算出されます[1]。代表的な「NOMURA-BPI総合」のほか、種別・年限別などの指数があります(一般に)。国債・地方債・社債など円建ての公募債が対象です。

なぜ実務で​重要なのか

年金基金・保険・投信の運用担当者は、NOMURA-BPIを物差しにして、運用成績が市場平均を上回ったかを評価します。運用会社は、ファンドの運用方針で「NOMURA-BPI総合をベンチマークとする」と定め、リスクの取り方(デュレーション・セクター配分)をそこからの乖離で管理します。経営企画・財務部門が社債の発行条件を考えるときも、国内の債券市場全体の水準を知る材料になります。個別社債の価格付けは社債の​理論価格評価で扱います。

計算式​(または仕組み)

指数は投資収益指数、つまり利息収入と債券価格の変動を合わせたトータルリターンを示す指数です[1]。ベンチマークとの比較は、次の2つの式で整理します。

超過収益率 = ポートフォリオ収益率 - ベンチマーク(NOMURA-BPI)収益率
金利変動時の価格変化率(近似)≒ -修正デュレーション × 金利の変化幅

債券ファンドの運用方針の例として、有価証券報告書に記載された確定拠出年金向けの国内債券ファンド(2023年8月期)は、NOMURA-BPI総合をベンチマークとし、投資対象を主にその構成銘柄と投資適格格付債とし、デュレーションを原則としてベンチマークの±20%程度の範囲に維持する方針を示しています[1]。この例が示すように、ベンチマークは「何を買うか」だけでなく「どれだけ金利リスクを取るか」の基準にもなります。

管理する項目ベンチマークとの関係主に効く要因
デュレーションベンチマークの±一定範囲(上の例は±20%程度)金利の方向感
セクター・格付配分ベンチマークの構成比からの乖離信用スプレッドの変化
銘柄選定構成銘柄の中から選ぶ、または一定の格付債を加える個別の信用力・割安度

整数設例で​確認する

設例(架空数値)。債券ポートフォリオの時価は100,000百万円で、ベンチマークの修正デュレーションを8.0年、ポートフォリオを9.0年とします。金利が全年限で一斉に0.10%(10bp)上昇した場合を、修正デュレーションによる近似(凸性は無視)で計算します。

① ベンチマーク:-8.0 × 0.10% = -0.80%。
② ポートフォリオ:-9.0 × 0.10% = -0.90%。
③ 超過収益率(価格要因のみ)= -0.90% - (-0.80%) = -0.10%。金額では 100,000 × (-0.90%) = -900、ベンチマーク相当 100,000 × (-0.80%) = -800 なので、差は-100(百万円)です。
④ デュレーション比 = 9.0 ÷ 8.0 = 1.125(+12.5%)で、±20%の範囲(6.4年〜9.6年)の内側です。

金利が低下すれば逆に超過収益が出ます。デュレーションを長くする判断は、金利が下がる見通しに賭けることを意味します。利息収入(キャリー)や信用スプレッドの変化は、この設例では無視しています。

投資判断への​影響

ベンチマークを決めると、運用の「成功」は絶対収益ではなくNOMURA-BPIとの差で測られます。デュレーションやセクターを大きく動かせば超過収益の機会が増えますが、ベンチマークからの乖離が大きいほど、成績のぶれ(トラッキングエラー)も大きくなります。低コストで指数に近づけるパッシブ運用と、乖離を許容して超過収益を狙うアクティブ運用の違いは、アクティブ​運用と​パッシブ運用で整理しています。

財務​モデル・​Excelでの​使い方

  • 月次の超過収益:ポートフォリオ収益率とNOMURA-BPI収益率を並べ、=ポートフォリオ-ベンチマーク を計算。=STDEV.S(範囲)*SQRT(12) で年率のトラッキングエラーの目安にします。
  • 金利シナリオ表:金利変化幅を行に取り、=-デュレーション*変化幅 でポートフォリオとベンチマークの価格変化を並べます。差が金利シナリオごとの超過収益です。
  • デュレーション制約の確認:=ポートフォリオDur/ベンチマークDur-1 が、運用方針の許容範囲(例:±20%)に収まるかを判定します。

金利が動く前提を作るときは、イールドカーブが平行移動するかどうかも明示します。

この​用語を​Excelで​「組める」​状態に​する

ベンチマーク​収益率との​差と​金利​シナリオ​表を​作り、​デュレーション​管理の​考え方を​数式で​確認できるようになる。

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実務家が​確認する​ポイントと​よく​ある​誤解

誤解1:「NOMURA-BPIは国債だけの指数」→ 正しくは、総合は一定の組み入れ基準を満たす国債・地方債・社債などの国内公募利付債券を対象にします。国債のみの指数など、種別別の指数は別にあります。どの指数がベンチマークか、運用報告書や目論見書で確認します。

誤解2:「指数に勝つ=利回りが高い」→ 正しくは、同じリスクで比べた差が重要です。デュレーションを長くして取った超過収益は、金利が逆に動けば逆転します。

誤解3:「指数が国内債券市場のすべてを表す」→ 正しくは、公募債が対象です。私募債や預金などは含まれない点に注意します[1]。

日本実務での​扱い

(2026年11月時点)ベンチマークを設定する公募投信では、その内容を有価証券報告書や目論見書の投資方針で確認できます(ベンチマークを設定しないファンドもあります)。例として、前述の確定拠出年金向けファンドの有価証券報告書は、指数の著作権・知的財産権が野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社に帰属すること、同社が指数の正確性や完全性を保証しないこと、わが国債券市場の構造変化等に応じてベンチマークを見直す場合があることを記載しています[1]。ベンチマークそのものを使うには指数提供会社の許諾が必要になる場合があるため、実務では運用会社の開示資料を通じて参照するのが一般的です。EDINETで運用会社の有価証券報告書の「投資方針」を見ると、採用ベンチマークの記載を確認できます。

面接・​モデルテストで​問われる​ポイント

Q:国内債券ファンドが、ベンチマークよりデュレーションを長くするのはどんなときですか。
「金利が低下して債券価格が上がると見るときです。たとえばベンチマークが8年でポートフォリオが9年なら、金利が10bp下がると価格要因で約0.10%の超過収益が出ます。ただし逆に金利が上がれば同じ幅で劣後するので、運用方針の許容範囲の中で、トラッキングエラーとのバランスを見て決めます。」深掘りされるのは、修正デュレーションの近似式と、近似が外れる大きな金利変動時の凸性です。

よく​ある​質問​(FAQ)

Q. NOMURA-BPIとTOPIXの違いは何ですか?
A. 対象が異なります。NOMURA-BPIは国内の債券市場、TOPIXは東証の株式市場の指数です。株式側の代表例はTOPIXを参照してください。

Q. 個人がNOMURA-BPIに連動する商品を買えますか?
A. 指数そのものは買えませんが、NOMURA-BPIをベンチマークとするファンドがあります。連動か、ベンチマークとして参照するだけかは、目論見書の運用方針で確認します。

出典・参考​(2026-11確認)

  1. 野村アセットマネジメント株式会社「有価証券報告書 ノムラ日本債券オープン(確定拠出年金向け)第22期」(2023年11月27日提出、関東財務局長宛)「2【投資方針】(1)」。EDINET掲載. NOMURA-BPI総合の説明・ベンチマーク・デュレーション方針. https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100RY1R.pdf(2026年11月参照)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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