この記事で分かること
- CRB商品指数の定義と、構成品目・ウエイトの考え方
- 加重平均による指数変化率の整数設例での検算
- インフレの先行指標として使われる理由
- 日本の企業物価指数・原材料調達実務との接点
30秒で分かる定義
CRB商品指数(しーあーるびーしすう、Thomson Reuters/CoreCommodity CRB Index)とは、エネルギー・貴金属・卑金属・農産物など主要な商品先物価格を加重集計した代表的な総合コモディティ指数です。1957年に算出が開始された歴史ある指数で、現行版は19品目で構成され、エネルギー関連のウエイトが高い設計になっています。四半期ごとにウエイトの見直し(リバランス)が行われます。
なぜ実務で重要なのか
資源セクターのIB・マクロファンドでは、商品市況全体の方向感を捉える代表指標として、インフレ動向の先行指標として市場・エコノミストが注視します。素材・エネルギー企業の与信審査では、原材料コストや製品価格の変動リスク評価に用いられます。資源セクター全般の評価は資源セクターの評価入門で扱うNAV型評価とも関係します。
計算式(または仕組み)
実際のCRB指数は19品目を複数グループに分け、それぞれ個別ウエイト(原油関連が最大級のウエイトを持つ設計)を設定し、算術平均・幾何平均を組み合わせた方式で算出されます。ここでは考え方を理解するため、簡略化した加重平均で説明します。
整数設例で確認する
設例(架空数値、構成を簡略化した3品目バスケットで説明)。原油(ウエイト40%)、金(ウエイト30%)、大豆(ウエイト30%)の価格が、それぞれ前月比+10%、-4%、+6%だったとします。
指数変化率≈0.40×10%+0.30×(-4%)+0.30×6%=4%-1.2%+1.8%=4.6%です。前月の指数値が300ポイントだった場合、当月の指数は300×(1+4.6%)=313.8ポイントと試算できます。原油のウエイトが最大のため、原油価格の変動が指数全体を動かす主因になりやすいことが確認できます。
市場・取引制度上の位置付け
CRB指数は、川上の原材料コスト上昇が数か月のラグを経て企業物価・消費者物価に波及する経路を追う、マクロ分析の定番指標として使われます。日本では企業物価指数(CGPI)と企業向けサービス価格指数(SPPI)の先行きを読む材料として、CRB指数を含む海外商品指数の動向が参照されます。
財務モデル・Excelでの使い方
- 資源・素材セクターの原材料コスト感応度モデルでは、CRB指数(または構成品目別価格)を外部前提として読み込み、売上原価への転嫁ラグ(数か月)を織り込んだシナリオ分析を構築する。
- 商社・製造業の調達コスト管理では、指数のトレンドを在庫評価・価格改定交渉のタイミング判断の参考材料として用いる。
実務家が確認するポイントとよくある誤解
誤解1:「CRB指数=原油価格そのもの」→ 正しくは、原油はウエイトが大きいものの、金・農産物なども含む複合指数です。原油以外の品目の動きにより、原油価格単体とは異なる値動きになることがあります。
誤解2:「商品指数はどれも構成・ウエイトが同じ」→ 正しくは、指数提供会社ごとに採用銘柄・ウエイト方式が異なり、エネルギー比率の違いなどで値動きの性質が変わります。比較する際は各指数の構成を確認する必要があります。
日本実務での扱い
日本の商社・素材メーカーの原材料調達戦略や、企業物価指数(CGPI)・企業向けサービス価格指数の分析において、CRB指数を含む海外商品指数の動向が参照されます(2026年8月時点)。国内では大阪取引所(旧東京商品取引所の商品部門を統合)で個別商品先物が取引されますが、CRB指数自体は米国の民間指数提供会社が算出する指数であり、日本の公的統計ではない点に留意が必要です。
面接・モデルテストで問われるポイント
Q:CRB指数がインフレの先行指標とされる理由を説明してください。
「川上の原材料コストの変動は、数か月のラグを経て企業物価指数や消費者物価指数に波及する傾向があります。CRB指数はエネルギー・金属・農産物といった川上のコモディティ価格の動きを集約しているため、インフレ動向を先取りする材料として使われます。」(30秒回答例)
深掘りでは「CRB指数とWTI原油価格の相関と乖離要因」「他の商品指数(ブルームバーグ・コモディティ指数等)との違い」が問われます。
よくある質問(FAQ)
Q. CRB指数とWTI原油価格は同じ動きをしますか?
A. 相関は高い傾向にありますが、エネルギー以外の構成品目(貴金属・農産物等)の値動きにより、原油価格単体とは異なる動きをすることがあります。
Q. CRB指数はどこが算出していますか?
A. 現在はThomson Reuters/CoreCommodityの名称で算出・公表されています。算出主体・名称は改称の経緯があるため、利用の際は最新の公表元を確認するのが実務的です。
出典・参考(2026-08確認)
- Bank for International Settlements(コモディティ市場とインフレの関係に関する分析) https://www.bis.org/
- OECD「Economic Outlook」(コモディティ価格動向の記述を含む) https://www.oecd.org/
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。