この​記事で​分かる​こと

  • 単利と複利の違い、将来価値FV=P×(1+r)^nの式
  • 年1回・半年・月次・連続複利の10年後の元利合計と実効年利の比較
  • PIK金利など元本組入れでの複利の効果
  • 民法における重利の位置づけとExcelでの計算

30秒で​分かる​定義

複利(Compound Interest、ふくり)とは、利息を元本に組み入れ、次の期間からは利息にも利息が付く計算方法です。元本だけに利息が付く単利と対比され、期間が長いほど差が拡大します。将来価値は「元本 × (1+r)n」で求まり、1年に何度も利息を組み入れる回数を限りなく増やした極限が連続複利です。

金融庁の資産形成の資料も、元本のみに利子が付くことを単利、元本のみならず利子も運用すればその利子にも利子が付くことを複利と説明し、複利の効果は金利が高いほど、期間が長いほど大きくなるとしています[2]。

なぜ実務で​重要なのか

複利は、ファイナンスのほぼすべての計算の基礎です。IB・FAS・経営企画は将来価値・現在価値・CAGRの計算で、PE・VCはIRRが複利ベースの収益率であるため、保有期間と投資倍率の関係を理解する前提として使います。融資・債券市場部門は、利息の組入れ頻度の違いによる実効利回りの差を比べます。LBOでは、現金払いをしないPIK金利が元本に組み入れられていくため、複利の効果が負債残高に直接表れます(詳細はPIK​金利とは)。

計算式

rは年利(名目)、nは年数、mは1年あたりの組入れ回数、Pは元本です。

単利:FV = P × (1 + r × n)
年1回複利:FV = P × (1 + r)n
年m回複利:FV = P × (1 + r ÷ m)m × n / 連続複利:FV = P × er × n
実効年利 = (1 + r ÷ m)m − 1 (連続複利:er − 1)

名目年利が同じでも、組入れ回数が多いほど実効年利は高くなります。名目と実効の区別は金利の​基礎を前提とし、本ページは複利計算そのものに絞ります。

整数設例で​確認する

設例(架空数値・単位は百万円)。元本100、名目年利3%、10年。

計算方式式10年後の元利合計実効年利
単利100 × (1 + 0.03 × 10)130.00—
年1回複利100 × 1.0310134.393.0000%
年2回複利100 × 1.01520134.693.0225%
月次複利100 × (1 + 0.03 ÷ 12)120134.943.0416%
連続複利100 × e0.3134.993.0455%
  • 複利(年1回)と単利の差:134.39 − 130.00 = 4.39(利息にも利息が付いた分)。
  • 年1回と連続の差は 134.99 − 134.39 = 0.60 で、名目年利が同じなら組入れ頻度の影響は小さく、実効年利で約4.5bp(3.0455% − 3.0000%)に収まります。
  • CAGRの逆算:(134.39 ÷ 100)1/10 − 1 = 3.00%。

金融庁の資料の例では、100万円を利率5%で40年運用すると、単利は300万円、複利は704万円です[2](検算:100万円 × 1.0540 = 約704万円、100万円 × (1 + 0.05 × 40) = 300万円)。

投資判断への​影響

複利は、期間が長いほど加速度的に効いてくるため、投資判断では「期間」と「再投資できるか」が重要になります。PE・VCのIRRは、投資期間中のキャッシュフローの正味現在価値をゼロにする割引率です。計算そのものに再投資の仮定は要りませんが、IRRを「期間を通じて複利で実現した収益率」と読むには、途中で受け取った資金を同じ率で再投資できることが前提になります。同じ投資倍率(MOIC)でも保有期間が短いほどIRRは高くなります。

LBOのPIK債では、現金で払わない利息が元本に組み入れられます。設例:PIK金利8%(年1回組入れ)、元本100、5年とすると、100 × 1.085 = 146.93で、5年間で元本が約47%増えます。現金利払いの債務との負債残高の差が、返済負担に影響します。

財務​モデル・​Excelでの​使い方

  • 将来価値:=FV(利率,期数,0,-元本) または =元本*(1+利率/m)^(m*年数)。連続複利は =元本*EXP(利率*年数)。
  • 実効年利:=EFFECT(名目年利,組入れ回数)、逆算は =NOMINAL(実効年利,組入れ回数)。
  • 収益率の逆算:=(終値/始値)^(1/年数)-1 または =RRI(年数,始値,終値)。
  • 単位:年利と月数を混在させず、利率セルに「年・月」の単位を明記する。

この​用語を​Excelで​「組める」​状態に​する

FV・​EFFECT・​RRIを​使って、​複利の​将来価値と​実効年利、​逆算の​収益率を​Excelで​検算できる。

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実務家が​確認する​ポイントと​よく​ある​誤解

誤解1:「複利は特別な高利回り商品の話」→複利は計算方法で、元本に利息を組み入れて運用を続けるかどうかで決まります。

誤解2:「年率3%の月次複利なら実効年利は3%」→月次複利の実効年利は3.04%程度になります(名目と実効は別)。

誤解3:「複利なら元本は必ず早く増える」→複利は利息を再投資した場合の話で、引き出したり、運用成績がマイナスであれば当てはまりません。金額の倍増期間の目安は72の​法則で確認できます。

確認ポイント:利率が名目か実効か、組入れ頻度、日数計算(実日数/365など)の規定を契約書や商品説明で確認します。

日本実務での​扱い

(2026年11月時点)日本の民法は、利息に関する基本ルールを置いています。第404条は法定利率を定め、第405条は、利息の支払が1年分以上延滞した場合に、債権者が催告しても債務者が利息を支払わないときは、債権者はこれを元本に組み入れること(重利)ができると定めます[1]。法定利率は、一定のルールに従って3年ごとに見直されます。

金融実務では、預金・ローン・債券の利息の計算方法(単利か複利か、組入れの頻度)は商品ごとに異なります。会社の財務モデルでは、利息は期首残高、または期中の借入・返済を反映した平均残高に利率を掛ける方式が多く、契約上の計算方法(日次残高など)に合わせて選びます。平均残高や期末残高を使うと利息と借入額が互いに依存して循環参照になるため、その設計が必要になる場合もあります。

面接・​モデルテストで​問われる​ポイント

Q:年利3%で100を10年運用すると、単利と複利でいくら違いますか。
「単利は100 × (1 + 0.03 × 10) = 130、複利は100 × 1.0310 = 約134.4で、差は約4.4です。差は利息に付く利息分で、期間が長いほど、利率が高いほど広がります。」

深掘り:名目年利と実効年利、連続複利を使う場面(オプション評価、対数収益率)、IRRとCAGRの関係。

よく​ある​質問​(FAQ)

Q. 連続複利はなぜ使うのですか。
A. 指数関数で表せるため、微分や対数収益率との相性がよく、オプション価格理論などの理論計算で使われます。実務の契約利息は離散的な組入れが一般的です。

Q. CAGRとの違いは何ですか。
A. CAGRは、始値から終値まで一定率で複利成長したと仮定したときの年平均成長率で、複利計算の逆算です。

出典・参考​(2026-11確認)

  1. e-Gov法令検索「民法」第404条(法定利率)・第405条(利息の元本への組入れ). https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089(2026年11月参照)
  2. 金融庁「「貯める・増やす」~資産形成 応用編」単利と複利(4-3). https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/04-2.pdf(2026年11月参照)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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