この記事で分かること
- 経歴判明1,043名のうち、単一業種のみの記載では銀行79名・投資銀行77名・事業会社61名が上位
- 2カテゴリ以上の複合パターンでは「MBA+戦略コンサル」25名が最多
- 投資銀行とMBAの双方の記載があったのは25名(判定可能781名中)にとどまる
- FASと公認会計士の双方の記載があったのは19名(判定可能1,043名中)
結論:経歴の「掛け算」は一部に存在するが、複合パターンは限定的
大手町プレップは、経歴情報を確認できた1,043名について、投資銀行・戦略コンサル・銀行・事業会社・商社・監査法人・FAS・MBA・官公庁など主要カテゴリの組み合わせを集計しました。単一カテゴリのみの記載では銀行79名、投資銀行77名、事業会社61名、戦略コンサル50名、商社39名、監査法人38名、MBA37名が上位です。
複数カテゴリにまたがる複合パターンとして最も多かったのは「MBA+戦略コンサル」の25名で、「投資銀行+銀行」19名、「事業会社+銀行」17名が続きます。よく話題になる「投資銀行+MBA」は、投資銀行とMBAの記載有無を双方確認できた781名のうち25名にとどまり、「FAS+公認会計士」も判定可能な1,043名のうち19名でした。特定の経歴の掛け算が業界の「標準装備」になっているとまでは、このデータからは言えません。
以下、分母を明示しながら組み合わせの内訳と、代表的な2つの掛け算(投資銀行×MBA、FAS×公認会計士)を詳しく見ていきます。
検証する仮説と分析対象
本記事で検証する仮説は「『投資銀行+MBA』『FAS+会計士』のような特定の経歴の組み合わせが、PE人材の王道になっているのか」です。分析対象は大手町プレップPEファンドDBの人物のうち、2026年8月30日時点で経歴情報を確認できた1,043名です。各カテゴリの有無は「記載を確認」「公式プロフィールに記載を確認できず」「情報不足で判定不能」の三値で管理しており、以下の人数は原則として記載の有無を判定できた人数を分母にしています。記載がないことは、その経歴がないことの確認ではありません。
なお、本分析の主要カテゴリ(投資銀行・戦略コンサル・銀行・事業会社・商社・監査法人・FAS・MBA・官公庁等)のいずれにも一致しない経歴のみの人物は「該当分類なし」として289名を集計しています。不動産・法律事務所・中堅事業会社など、辞書に含まれない経歴を持つ人物が該当し、経歴が無いという意味ではありません。
経歴の組み合わせパターン一覧
| # | 経歴の組み合わせ | 人数 |
|---|---|---|
| 1 | 該当分類なし | 289 |
| 2 | 銀行 | 79 |
| 3 | 投資銀行 | 77 |
| 4 | 事業会社 | 61 |
| 5 | 戦略コンサル | 50 |
| 6 | 商社 | 39 |
| 7 | 監査法人 | 38 |
| 8 | MBA | 37 |
| 9 | MBA+戦略コンサル | 25 |
| 10 | 官公庁・公的 | 22 |
| 11 | 投資銀行+銀行 | 19 |
| 12 | 事業会社+銀行 | 17 |
| 13 | FAS | 16 |
| 14 | FAS+監査法人 | 14 |
| 15 | 事業会社+戦略コンサル | 13 |
| 16 | MBA+銀行 | 12 |
| 17 | FAS+銀行 | 11 |
| 18 | MBA+商社 | 10 |
| 18 | MBA+投資銀行 | 10 |
| 20 | 事業会社+商社 | 8 |
表は、経歴カテゴリの組み合わせを人数の多い順に並べたものです。単一カテゴリのみの記載では、銀行79名・投資銀行77名・事業会社61名・戦略コンサル50名・商社39名・監査法人38名・MBA37名・官公庁・公的22名・FAS16名の順に多く、特定の単一カテゴリへの極端な集中は見られません。
2カテゴリ以上の複合パターンでは、「MBA+戦略コンサル」25名が最多で、「投資銀行+銀行」19名、「事業会社+銀行」17名、「FAS+監査法人」14名、「事業会社+戦略コンサル」13名、「MBA+銀行」12名、「FAS+銀行」11名、「MBA+商社」10名、「MBA+投資銀行」10名、「事業会社+商社」8名と続きます。複合パターンの上位に「MBA」を含む組み合わせが多く並んでいる点は特徴的ですが、いずれも個々の人数は経歴判明1,043名全体からすればごく一部にとどまります。
「投資銀行×MBA」「FAS×公認会計士」を掘り下げる
特によく話題になる2つの掛け算について、記載有無を詳しく見ます。投資銀行経験とMBAの双方について記載の有無を確認できたのは781名で、このうち投資銀行・MBAの両方の記載があったのは25名、投資銀行のみの記載は111名、MBAのみの記載は136名、いずれの記載もなかったのは509名でした。「投資銀行+MBA」が特別に多いというより、投資銀行単独・MBA単独の記載の方がそれぞれ多いことが分かります。
FAS経験と公認会計士資格の双方について記載の有無を確認できたのは1,043名で、このうち両方の記載があったのは19名、FASのみの記載は80名、公認会計士のみの記載は48名、いずれの記載もなかったのは896名でした。FAS経験者の中で公認会計士資格も記載していた人物は一部にとどまり、FASから会計士資格を経てPEに入る経路(監査法人からFAS、そしてPEへで詳述)は、確立した経路の一つではあるものの、量的には限定的です。
結果から言えること・言えないこと
言えること。(1)経歴の組み合わせとしては単一カテゴリのみの記載が中心で、複合パターンは相対的に少数です。(2)複合パターンの中では「MBA+戦略コンサル」が最多で、MBAを含む組み合わせが上位に複数並びます。(3)「投資銀行+MBA」「FAS+公認会計士」といった話題性のある掛け算も一定数存在しますが、それぞれの単独記載者数と比べると規模は限定的です。
言えないこと。(1)ある組み合わせの人数が多いことは、その組み合わせが選考上有利であることを意味しません。(2)記載件数が少ないカテゴリの組み合わせは、実際にはその経歴を持つが記載していない人物を含む可能性があり、実数はこれより多いと考えられます。(3)「該当分類なし」289名は経歴が無いことを意味せず、本分析の辞書に含まれない業種・職種の経歴を持つ人物です。
データの定義と限界
本記事の組み合わせ集計の母集団・三値分類・カテゴリ辞書の詳細は以下のとおりです。シリーズ全記事で共通の基準を使用しています。
集計方法・データ定義(大手町プレップPE人物データベース独自集計)
- 対象データ
- 大手町プレップPEファンドDBの地域カテゴリに「日本」を含むPEファンド133社(外資系・グローバルファンドの日本拠点を含む)について、各社公式サイトのチーム・メンバーページに現職として掲載された人物1,456名(2026年8月30日時点)。関連会社間の重複を除いた実人数は1,438名。
- 集計単位
- 人物属性(学歴・MBA・職歴など)の集計は実人数(ユニーク人物)単位、ファンド別の集計は人物・所属レコード単位で行っています。
- 三値分類
- 各属性は「記載を確認」「公式プロフィールに記載を確認できず」「経歴情報が不足し判定不能」の3つに分けています。比率は原則として記載有無を判定できた人数(判明者)を分母とし、本文・図表に分母を明記しています。「記載を確認できない」ことは「経歴・資格がない」ことを意味しません。
- ランキングの基準
- 比率のファンド別ランキングは属性判明者10名以上のファンドを対象とし、5〜9名は参考値、4名以下は対象外としています。
- データソース
- 各PEファンドの公式サイト(チームページ・人物プロフィール・会社概要等)の公開情報。役職名・経歴は公式表記を機械的な基準で正規化・分類しています。
- 「該当分類なし」について
- 本分析の分類辞書(投資銀行・コンサル・銀行等の主要カテゴリ)に一致しない経歴(不動産・法律事務所・中堅事業会社等)のみの人物です。
本分析は公式サイトの公開情報のみを機械的に集計したものであり、各ファンドの実際の人員構成・採用基準を網羅・代表するものではありません。経歴の開示方針はファンドにより大きく異なるため、比率の差がそのまま実態の差を意味するとは限りません。出身大学・前職等は人物の能力・評価を示すものではなく、相関関係は因果関係を意味しません。
よくある質問(FAQ)
「投資銀行+MBA」は本当に多いのですか。
投資銀行経験とMBAの双方の記載有無を確認できた781名のうち、両方の記載があったのは25名です。投資銀行のみの記載が111名、MBAのみの記載が136名で、単独記載の方が多く見られます。
会計士とFASの組み合わせはどのくらいいますか。
FAS経験と公認会計士資格の双方を確認できた1,043名のうち、両方の記載があったのは19名です。FASのみの記載は80名、公認会計士のみの記載は48名でした。
経歴の組み合わせが多いほどPEに入りやすいのですか。
このデータからは判断できません。複合的な経歴を持つ人物が一定数存在することは分かりますが、複合経歴が採用条件であることや、複合経歴の人がより有利であることを示す情報ではありません。
「該当分類なし」とはどのような人ですか。
本分析の主要カテゴリ(投資銀行・戦略コンサル・銀行・事業会社など)に一致しない経歴のみの人物で、経歴判明1,043名中289名が該当します。不動産や法律事務所、中堅事業会社などの経歴を含みますが、経歴が無いという意味ではありません。
まとめ
経歴の組み合わせを見ると、単一カテゴリの記載が中心で、話題になりやすい「投資銀行+MBA」「FAS+公認会計士」のような掛け算は一定数存在するものの、量的には限定的でした。個々の経路の詳細は「外銀+MBA」は外資系PEの王道なのかや、役職別の傾向を扱ったパートナーほどMBA記載率は高いのかもあわせて参照してください。業種間の推移そのものはキャリアパスの可視化で図解しています。
出典・データについて
- 大手町プレップPE人物データベース(日本カテゴリ133社の公式サイト掲載情報を独自集計・2026年8月30日時点)
- 大手町プレップPEファンドDB https://otemachiprep.com/pe-funds/
※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・個人の評価や、転職成否の保証・投資助言ではありません。出身大学・経歴は人物の能力を示すものではありません。
データ基準日: 2026年8月30日(人物データベースの更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)