この​記事で​分かる​こと

  • JPX日経400の定義と、選定手順(適格基準・流動性・スコア・定性加点)
  • JPXプライム150のねらい(エクイティ・スプレッドとPBR)と両指数の違い
  • 簡易スコアの整数設例で、ROE・営業利益の重みを確認
  • 採用の意味(指数連動の需給、IR)と日本の資本効率改善の流れ

30秒で​分かる​定義

JPX日経インデックス400(JPX-Nikkei Index 400、略称JPX日経400)とは、JPX総研と日本経済新聞社が算出する、資本の効率的活用や投資者を意識した経営といったグローバルな投資基準を満たす「投資者にとって投資魅力の高い会社」400銘柄で構成する株価指数です。日本取引所グループは、これにより日本企業の魅力を内外にアピールし、持続的な企業価値向上を促すことを狙いとしています[1]。

2023年には、同じくJPX総研が、ROEと株主資本コストの差(エクイティ・スプレッド)とPBRを基準とする「JPXプライム150指数」(150銘柄)を開発しました[2]。本ページは両指数を、選定基準と企業のIR上の意味から整理します。時価総額加重で市場全体を映すTOPIX​(東証株価指数)とは、構成の考え方が異なります。

なぜ実務で​重要なのか

経営企画・IR・財務は、自社が指数に採用されているか、採用基準(ROE・営業利益・独立社外取締役など)に照らしてどの位置にあるかを、資本政策や開示方針の目標設定に使います。運用会社・年金・ETFの担当は、指数連動型の運用で構成銘柄の入替の影響を見ます。アナリスト・機関投資家は、資本効率の観点から銘柄をスクリーニングする際の参照に使います。IB・PEは、上場企業向けの資本政策の提案で、ROEを高める手段(自社株買いなど)を検討する際の背景として、指数の採用基準が話題になることがあります(一般的な説明)。

計算式​(または仕組み)

JPX日経400の主な選定手順は次のとおりです[1]。

段階内容
①適格基準のスクリーニング上場後3年未満(テクニカル上場を除く)、過去3期のいずれかで債務超過、過去3期すべてで営業赤字、過去3期すべてで最終赤字、整理銘柄等は対象外
②市場流動性のスクリーニング直近3年間の売買代金と時価総額を勘案して上位1,000銘柄を選定
③定量スコアリング1,000銘柄に順位スコア(1位1,000点〜1,000位1点)を付与。3年平均ROE 40%、3年累積営業利益 40%、時価総額 20%
④定性的な加点独立社外取締役の選任(取締役総数の過半数)、女性役員の選任、IFRSの採用・採用決定、英文開示(決算情報・CG報告書のTDnet配信)などを補完的に加点
⑤構成銘柄の決定前年度採用銘柄はスコアが440位以内なら継続採用。不足分はROE等の条件を満たす銘柄から400銘柄になるまで採用

選定基準日は毎年6月最終営業日、入替は毎年8月最終営業日です。算出方法は浮動株調整時価総額加重型(1.5%キャップ付き)、起算日は2013年8月30日(基準値10,000)、算出開始は2014年1月6日です[1]。JPXプライム150は、東証プライム市場の時価総額上位銘柄から、財務実績に基づく「資本収益性」(エクイティ・スプレッド)と「市場評価」(PBR)の2観点で選び、構成銘柄数は150、浮動株時価総額加重型、算出開始は2023年7月3日です[2]。

エクイティ・スプレッド = ROE − 株主資本コスト
PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)

整数設例で​確認する

設例(架空数値)。JPX日経400のスコアの考え方を、簡略化した順位スコアで確認します(実際の算出ではROE・営業利益の順位付けに算出要領上の取扱いがあり、定性加点も加わります)。順位スコア = 1,001 − 順位 とします。

A社:3年平均ROEが100位、3年累積営業利益が300位、時価総額が500位。

  • ROEスコア = 1,001 − 100 = 901、営業利益スコア = 1,001 − 300 = 701、時価総額スコア = 1,001 − 500 = 501
  • 総合スコア = 0.4 × 901 + 0.4 × 701 + 0.2 × 501 = 360.4 + 280.4 + 100.2 = 741.0

B社:ROEが600位、営業利益が150位、時価総額が750位。

  • ROEスコア = 401、営業利益スコア = 851、時価総額スコア = 251
  • 総合スコア = 0.4 × 401 + 0.4 × 851 + 0.2 × 251 = 160.4 + 340.4 + 50.2 = 551.0

ROEと営業利益の重みが大きい(合計80%)ため、時価総額が小さくても資本効率と利益水準が高ければスコアが高くなります。A社の741.0とB社の551.0の差は190.0で、順位ではA社が優位です。

市場・​取引制度上の​位置付け

指数に採用されること自体は、法令上の義務や上場基準ではなく、指数提供者の基準による評価です。指数連動型の投資(パッシブ運用)の対象になるため、採用・除外は需給に影響し得ます(指数組み​入れ​効果)。JPXプライム150に連動するETFや先物も上場・取引されています[2]。

JPX日経400の採用企業は、ロゴマークを投資者・株主向け資料などに使用できます(現在選定されている会社に限る)[1]。また、東証の2025年版コーポレート・ガバナンス白書は、東証上場会社全体では指名委員会等設置会社が2.5%(95社)であるのに対し、JPX日経400構成銘柄では9.8%を占めると記載しており[3]、構成銘柄では委員会型の機関設計を採用する会社の比率が高いことが分かります(この数値は分布を示すもので、採用との因果関係を示すものではありません)。

財務​モデル・​Excelでの​使い方

  • 簡易スコアの試算:自社と比較企業のROE(3年平均)・営業利益(3年累計)・時価総額を並べ、=RANK()で順位を出し、=0.4*(1001-ROE順位)+0.4*(1001-営業利益順位)+0.2*(1001-時価総額順位)で簡易スコアを計算します。
  • エクイティ・スプレッド:=ROE−株主資本コストを銘柄ごとに計算し、PBRとあわせて散布図にします(JPXプライム150の考え方の確認)。
  • ROEの分解:=純利益率×総資産回転率×財務レバレッジで、ROE改善の要因(利益率・効率・レバレッジ)を分けます。
  • 注意:実際の指数採用は、算出要領の詳細(ROEの取扱い、加点規模、継続採用ルール)で決まるため、簡易スコアは目安にとどめます。

この​用語を​Excelで​「組める」​状態に​する

ROE・​営業利益・​時価総額から​簡易スコアを​作り、​エクイティ・​スプレッドと​PBRの​関係で​自社の​位置を​確認できるようになる。

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実務家が​確認する​ポイントと​よく​ある​誤解

誤解1:「JPX日経400は日本の大企業400社の指数」→ 時価総額の大きさだけでなく、3年平均ROEや3年累積営業利益などで選ぶため、時価総額が比較的小さい銘柄も含まれます。

誤解2:「ROEが高ければ必ず採用される」→ 債務超過・赤字などの適格基準、流動性、営業利益や時価総額のスコアも総合して選ばれます。

誤解3:「JPXプライム150も同じ基準の指数」→ JPXプライム150は、東証プライム市場の時価総額上位銘柄から、エクイティ・スプレッドとPBRで選ぶ別の指数です。

確認ポイント:指数の最新の算出要領と構成銘柄リスト、定期入替(毎年8月)の公表日を確認します。PBRと株価の関係は東証の​PBR​要請後、​市場は​何を​評価し​直したかで扱っています。

日本実務での​扱い

(2026年11月時点)JPX日経400の対象銘柄は、東証のプライム市場、スタンダード市場、グロース市場を主市場とする普通株式です[1]。毎年8月に定期入替があり、JPXプライム150も毎年8月に構成銘柄の定期入替が公表されています(2026年8月24日付の公表あり)[2]。

JPXプライム150のねらいについて、日本取引所グループは、東証プライム市場でPBRが1倍を超える上場企業が約半数にとどまる状況を踏まえ、株主資本コストや株価を意識した経営の実現を求める流れの中で開発したと説明しています[2]。ROEや資本効率の改善を促す政策・取引所の要請(東証のPBR要請など)と合わせて、日本企業のIR・資本政策で意識される指数です。

面接・​モデルテストで​問われる​ポイント

Q:JPX日経400とTOPIXの違いは何ですか。
「TOPIXは市場全体を時価総額加重で表す指数です。JPX日経400は、3年平均ROE・3年累積営業利益・時価総額などで400銘柄を選ぶ、資本効率を重視した指数です。選定基準に独立社外取締役や英文開示などの定性要素も加わる点も特徴です。」

深掘りの観点:JPXプライム150の基準(エクイティ・スプレッド・PBR)との違い、採用・除外が株価に与える影響(指数組み入れ効果)、ROEの高い企業が必ずしも割安とは限らない点。

よく​ある​質問​(FAQ)

Q. JPX日経400に採用されると何が変わりますか。
A. 指数連動の運用資金の対象になり得ること、ロゴマークを資料で使用できること(現在選定されている会社に限る)などがあります。株価への影響は、需給や他の要因と合わせて判断します。

Q. 採用銘柄はいつ入れ替わりますか。
A. 毎年6月最終営業日を選定基準日とし、8月第5営業日に入替銘柄を公表、8月最終営業日に定期入替を実施します。上場廃止による非定期の除外で400を下回っても、非定期の追加は行いません。

出典・参考​(2026-11確認)

  1. 日本取引所グループ(JPX)「JPX日経インデックス400」銘柄選定及び銘柄入替方法・算出方法. https://www.jpx.co.jp/markets/indices/jpx-nikkei400/index.html(2026年11月参照)
  2. 日本取引所グループ(JPX)「JPXプライム150指数」ねらい・概要・関連ニュース. https://www.jpx.co.jp/markets/indices/jpx-prime150/index.html(2026年11月参照)
  3. 東京証券取引所「東証上場会社 コーポレート・ガバナンス白書 2025」(2025年4月)組織形態(図表15). https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jb0-att/um3qrc000001isbf.pdf(2026年11月参照)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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