この記事で分かること
- PEファンドから別のPEファンドへの転職経験が確認できたのは判明1,043名中129名(12.4%、95%信頼区間10.5〜14.5%)
- 実人数ベースの全体に対する比率では9.0%
- 転職元として確認できる上位はフェニックス・キャピタル11名、アント・キャピタル10名、アント・キャピタル・パートナーズ10名など
- 三値分類(記載を確認できず≠経験なし)と分母の明示
結論:PE間転職の経験者は判明者の12.4%——業界内での人材移動は一定数存在する
「PEファンドは一度入ると転職が少ない、閉じた業界なのか」という問いに対し、大手町プレップのPEファンドDBの人物データベースで確認すると、経歴情報が判明した1,043名のうち、別のPEファンドでの勤務経験を確認できたのは129名(12.4%、95%信頼区間10.5〜14.5%)でした。実人数ベースの全体に対する比率では9.0%です。
129名という数字は、判明者のおよそ8人に1人に相当します。「一度PEファンドに入ったら他のPEファンドには移らない」という見方は、少なくとも公開経歴データからは支持されず、業界内での人材の移動は一定数確認できます。
検証する仮説と分析対象
本記事で検証する仮説は「PE業界は人材の流動性が低く、PEファンド間の転職はまれである」というものです。分析対象は、2026年8月30日時点でPEファンドDBの日本カテゴリに収録された133社のうち、経歴情報が判明した1,043名です。「PE間転職」は、現職のPEファンドより前に、別のPEファンドでの勤務経験が公式略歴に記載されているかどうかで判定しています。各属性は「記載を確認」「公式プロフィールに記載を確認できず」「情報不足で判定不能」の三値で管理し、比率は判定可能だった人数を分母としています。
PE間転職の記載率
PE間転職の記載率は判明者の12.4%で、95%信頼区間は10.5〜14.5%です。この区間の幅からも分かるとおり、サンプル数に由来する一定の誤差を含む数値として扱う必要があります。それでも1割前後という水準は、投資銀行やコンサルなど他業種からPEに初めて転じる人材が主流である一方、PE経験者が別のPEファンドに移るキャリアパスも無視できない規模で存在することを示しています。
転職元として確認できるPEファンド
転職元として名前を確認できたPEファンドの上位は、フェニックス・キャピタル11名、アント・キャピタル10名、アント・キャピタル・パートナーズ10名、アドバンテッジパートナーズ9名、ユニゾン・キャピタル7名の順でした。上位5件で41名と、PE間転職者129名の3割強を占めており、転職元として名前が挙がるファンドには一定の偏りが見られます。ただし、この人数はあくまで「転職元として公式略歴に記載されたファンド名」の集計であり、各ファンドからの離職率や離職者数全体を示すものではありません。
結果から言えること・言えないこと
言えること。(1)PEファンドから別のPEファンドへの転職経験者は判明者の12.4%存在し、業界内での人材移動はまれではありません。(2)転職元として名前が確認できるファンドには一定の偏りがあり、上位5件で転職元記載者の3割強を占めます。(3)これらの数値は開示情報に基づく最低限の確認結果であり、実際の移動はこれより多い可能性があります。
言えないこと。(1)記載がないことはPE間転職の経験がないことの確認ではなく、実際のPE間転職率はここで示した数値より高い可能性があります。(2)特定のファンドから転職者が多い理由は、このデータからは特定できません。(3)PEファンドを離れた人材全体の転職先の内訳(PE以外への転職を含む)は、本分析の対象外です。
PE経験者にとっても、モデリングの体系的な学び直しには意味がある
PEファンド間の転職では、投資先の業種やファンドの投資戦略によってモデリングの流儀が異なることも少なくありません。経験があってもなくても、LBOモデルの構造を体系的に整理しておくことは選考準備・実務双方で役立ちます。大手町プレップの講座では、買収価格・レバレッジ・エグジットリターンの関係をExcelで一から組みながら学べます。
データの定義と限界
本分析における「PE間転職」の定義、母集団、三値分類の基準は以下のとおりです。
集計方法・データ定義(大手町プレップPE人物データベース独自集計)
- 対象データ
- 大手町プレップPEファンドDBの地域カテゴリに「日本」を含むPEファンド133社(外資系・グローバルファンドの日本拠点を含む)について、各社公式サイトのチーム・メンバーページに現職として掲載された人物1,456名(2026年8月30日時点)。関連会社間の重複を除いた実人数は1,438名。
- 集計単位
- 人物属性(学歴・MBA・職歴など)の集計は実人数(ユニーク人物)単位、ファンド別の集計は人物・所属レコード単位で行っています。
- 三値分類
- 各属性は「記載を確認」「公式プロフィールに記載を確認できず」「経歴情報が不足し判定不能」の3つに分けています。比率は原則として記載有無を判定できた人数(判明者)を分母とし、本文・図表に分母を明記しています。「記載を確認できない」ことは「経歴・資格がない」ことを意味しません。
- ランキングの基準
- 比率のファンド別ランキングは属性判明者10名以上のファンドを対象とし、5〜9名は参考値、4名以下は対象外としています。
- データソース
- 各PEファンドの公式サイト(チームページ・人物プロフィール・会社概要等)の公開情報。役職名・経歴は公式表記を機械的な基準で正規化・分類しています。
- PE→PEの判定
- 現所属以外のPEファンド名(当サイトDB収録133社+主要海外PE)が職歴に登場する場合に該当としています。ファンド名が明記されない「PEファンド勤務」の記載も一部含みます。
本分析は公式サイトの公開情報のみを機械的に集計したものであり、各ファンドの実際の人員構成・採用基準を網羅・代表するものではありません。経歴の開示方針はファンドにより大きく異なるため、比率の差がそのまま実態の差を意味するとは限りません。出身大学・前職等は人物の能力・評価を示すものではなく、相関関係は因果関係を意味しません。
よくある質問(FAQ)
Q. PEファンドを辞めた人は、どこに転職していますか。
A. 本記事のデータは「別のPEファンドへの転職が確認できた人数」のみを対象としており、PE業界を離れた人材全体の転職先までは扱っていません。
Q. 12.4%という数字は、業界内転職として多いのか少ないのか判断できますか。
A. 他業種との比較データがないため、このデータだけで多寡を判断することはできません。判明者のおよそ8人に1人という水準として理解してください。
Q. 特定のPEファンドから移る人が多いのはなぜですか。
A. 理由はこのデータからは特定できません。公式略歴に基づく転職元の記載件数が多い、という事実のみが確認できます。
Q. データはいつ時点のものですか。
A. 2026年8月30日時点の各社公式サイト掲載情報です。
まとめ
PEファンドから別のPEファンドへの転職経験者は判明者の12.4%であり、業界内での人材移動は珍しいものではありませんでした。転職元として名前が挙がるファンドには一定の偏りがあるものの、開示バイアスを踏まえるとPE間転職の実際の規模はこれより大きい可能性があります。PE入社前の経験社数全体の傾向はPEファンドに入るまで何社経験しているのか、直前職の業種別内訳はPE転職者の直前職ランキングを参照してください。
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出典・データについて
- 大手町プレップPE人物データベース(133社の公式サイト掲載情報を独自集計・2026年8月30日時点)
- 大手町プレップPEファンドDB https://otemachiprep.com/pe-funds/
※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・個人の評価や、転職成否の保証・投資助言ではありません。出身大学・経歴は人物の能力を示すものではありません。
データ基準日: 2026年8月30日(人物データベースの更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)