概要
クアドリガ・キャピタルは、フランクフルトを拠点にドイツ語圏(ドイツ・オーストリア・スイス)の中堅企業(Mittelstand)向けバイアウト・グロース投資を専門とする独立系プライベートエクイティファームである。ヘルスケア、テック対応サービス、スマート・インダストリーズの3分野を注力セクターとし、単独買収に加えてアドオン買収を通じた「バイ・アンド・ビルド」戦略で投資先企業をプラットフォーム化する手法を多用している点が特徴である(GBA Groupの20件超のアドオン買収、SCIO Automationの多数の国際買収などが好例)。公式のPRI向けPublic Transparency Report(2023年)によれば、2022年末時点の総運用資産(AUM)は約9.04億米ドルで、資産の75%超を自社運用のバイアウト戦略が占める。大手町プレップの分析としては、同社がSCIO AutomationやGBA Groupで見せた「ファンド世代交代に伴うマジョリティからマイノリティへの持分移行」という手法は、欧州中堅PEファーム特有の長期プラットフォーム育成モデルの一例と位置づけられる。日本市場での投資活動やLP調達実績は、一次情報の範囲では確認できなかった。
投資戦略・重点領域
投資戦略
バイアウト(PE) グロースエクイティ カーブアウト バイ・アンド・ビルド(アドオン買収による事業統合)
重点業種
ヘルスケア テック対応サービス スマート・インダストリーズ
基本情報
- 正式英語名
- Quadriga Capital
- 本拠地
- フランクフルト・アム・マイン、ドイツ(Hamburger Allee 4, 60486 Frankfurt am Main)。上場情報なし(非上場の独立系PEファーム)。
- 設立
- 1995年(Private Equity International掲載の会社概要より。ただし公式サイトでは創業者Dr. Andreas FenduelとMax W. Römer両氏が1980年代半ばからドイツにおけるプライベートエクイティ業界の確立に携わってきたと紹介されており、個人としての業界歴と法人設立年は区別する必要がある=要確認)
- 活動地域
- EMEA
- 出自/系列
- 公式サイトによれば、創業パートナーのDr. Andreas FenduelおよびMax W. Römer両氏は1980年代半ばからドイツにおけるプライベートエクイティ業界の確立に携わってきた人物とされ、Quadriga Capitalはその流れを汲む独立系PEファームとして展開してきた(法人としての正式設立年は複数の外部データベースで1995年と記載されているが、公式サイト上に明確な設立年の記載はなく要確認)。現在はフランクフルトを拠点に、ドイツ語圏(ドイツ・オーストリア・スイス)を中心とする中堅企業(Mittelstand)向けのマジョリティ・バイアウトおよびバイ・アンド・ビルド戦略を展開しており、これまでに150社超の中堅成長企業に関与してきたと公式サイトで説明されている。SCIO Automationの事例のように、ファンドの世代交代(Partnership Va→Fund VI)に伴い保有持分の一部を新規投資家(AEA Investors等)に譲渡しつつ自らはマイノリティ投資家として継続支援する「セカンダリー的な持分再編」を行うケースも見られる。日本における独自拠点・投資活動は、公式サイト・プレスリリースを通じて一次情報を確認した範囲では見当たらず、投資対象地域もドイツ語圏・欧州が中心である。
- 状態
- 運用中
- 投資方針
- マジョリティ出資が基本(自社サイトで「圧倒的多数が75%超の持分」との記載があるPRIレポートに基づく)。ただしSCIO Automationのように、事業成長段階に応じてマジョリティからマイノリティへ移行し、新規スポンサーと共同で保有を継続する事例も確認できる。
- 主な案件タイプ
- バイアウト(過半数取得)、カーブアウト、バイ・アンド・ビルド(アドオン買収による事業統合)、成長資本(グロースキャピタル)、コンティニュエーション・ビークル/セカンダリー再編(GBA Groupの事例)
- 投資サイズ(Equity Check)
- 非開示(個別案件のエクイティ投資額は非公表。ファンドIVは約5.1〜5.3億ユーロ規模で、中堅企業向けバイアウトを主体とすることから、1件あたり数千万〜1億ユーロ程度と推定されるが、これは大手町プレップによる分析であり確定情報ではない)
- 対象企業EV
- 非開示(公式サイト・プレスリリースに具体的な対象エンタープライズバリューのレンジの記載なし)
- Fund Size
- Quadriga Capital Private Equity Fund IV:約5.11〜5.29億ユーロ(約6.75億米ドル、2013年2月クローズ)。これが公式・信頼できる報道で金額が確認できた直近の具体的ファンドサイズ。後継のFund Va・Fund VI(現行ファンド、SFDR第8条対象)については金額非開示。
- AUM
- 約9.04億米ドル(2022年12月31日時点、公式Public Transparency Report 2023より)。ユーロ建て金額は非開示。
- 主要ファンド
- Quadriga Capital Private Equity Fund II(非公開・2006年3月クローズ)
- Quadriga Capital Private Equity Fund III(非公開・2007年2月クローズ)
- Quadriga Capital Private Equity Fund IV(約5.11〜5.29億ユーロ(約6.75億米ドル)・募集開始2011年、投資開始2012年1月、2013年2月クローズ)
- Quadriga Capital Partnership Va
- Quadriga Capital Private Equity Fund VI
掲載区分・注記:公式サイトの「References」ページには本データベースに掲載した11社に加え、Alicona以外にもM&R Automation、Krankenhausgruppe、AHT、LEWA Pumps & Systems、LAPP Insulators、Punker、Coventya、Essmann、Francotyp-Postalia、Saia-Burgess Controls、Uster、ZTK Zahngesundheit、Hedrich Group等、計18社以上の過去投資先が社名のみ列挙されている。これらについては投資時期・売却時期・買い手等の詳細を一次情報で確認できなかったため、推測・水増しを避ける観点から本データベースへの掲載を見送った。
投資先(ポートフォリオ)
| 投資先 | 国 | 業種 | 投資時期 | Exit時期 | 投資期間 | 状態 | 案件タイプ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| セールステック・グループ ↗ 営業・マーケティングプロセスのデジタル変革を支援するフルサービスプロバイダー。デジタル製品とマネージドサービスを組み合わせ、金融・エネルギー・電動モビリティ等の大手企業顧客に提供。近年はAI活用のGrowth Studio事業も展開。 |
ドイツ | テック対応サービス | 2022年頃(複数のアドオン買収が2023年以降本格化しているため、プラットフォーム組成はそれ以前と推定。大手町プレップ分析) | — | 4年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイ・アンド・ビルド |
| ユナイテッド・セラピー・グループ ↗ 対面理学療法とデジタル遠隔医療サービスを組み合わせた統合ケアを提供する理学療法グループ。NOVOTERGUMとDeutsche Arzt Managementの統合により形成、約850名の従業員・70拠点以上を展開。 |
ドイツ | ヘルスケア | 2022年1月28日 | — | 4年6ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト(新規プラットフォーム組成) |
| GBAグループ ↗ 環境・食品・医薬品分野の独立系検査・分析ラボグループ。ドイツ、オーストリア、ベルギー、ポーランド、スペイン、フィンランド、米国、インドの8カ国・約40拠点で約1,900名を雇用。 |
ドイツ(欧州・米国・インドに拠点展開) | テック対応サービス(検査・分析ラボサービス) | 2016年(当初買収・プラットフォーム組成開始) | 2021年2月25日(一部持分売却) | 4年8ヶ月 | 一部Exit | バイ・アンド・ビルド/セカンダリー再編 |
| ニューケア・グループ ↗ 老健施設運営および訪問介護サービスを提供する介護事業者。Medical Senioren-Park Group・Convivo Group等の買収統合により、約3,100名の従業員・35施設・2,300人以上の介護対象者を抱える規模に成長(旧称:wecare Group)。 |
ドイツ | ヘルスケア(介護) | 2020年1月(Medical Senioren-Park Groupの事業承継案件を起点に組成) | — | 6年6ヶ月(継続中) | 投資中 | バイ・アンド・ビルド |
| GIG(統合ヘルスケア提供会社) ↗ 循環器・血管・肺・胃腸・血管外科・疼痛療法等を扱う外来診療センター運営グループ。バイエルン州のAlgesiologikum GroupおよびDEGEDI Groupの統合により組成。 |
ドイツ | ヘルスケア(循環器系外来診療) | 2020年 | — | 6年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイ・アンド・ビルド |
| SCIOオートメーション ↗ 自動化・自律型マテリアルハンドリングおよびインドロジスティクス技術に特化したシステムインテグレーター。半導体、食品・飲料、医薬品・ライフサイエンス等の顧客に電気・機械工学、PLC・ロボットプログラミングを提供。VesconとSchillerの統合により2019年1月に組成。 |
ドイツ(欧州・北米・アジアに35以上の拠点) | スマート・インダストリーズ(産業オートメーション・マテリアルハンドリング) | 2019年1月(Quadriga Capital Partnership Vaがマジョリティ出資) | 2023年8月31日(マジョリティ持分売却) | 4年7ヶ月 | 一部Exit | バイ・アンド・ビルド/セカンダリー再編 |
| イプセン(独・熱処理技術) ↗ 航空宇宙・エネルギー・防衛産業向けを中心に、統合熱処理ソリューションを提供する世界的リーダー企業。なお同名のフランス製薬大手Ipsen S.A.とは無関係の別会社。 |
ドイツ(米国・欧州・アジアに製造拠点を持つグローバル企業) | スマート・インダストリーズ(産業機械・熱処理技術) | 非開示(公式サイト上に投資時期の記載なし・要確認) | 非開示 | 非開示 | 不明 | バイアウト |
| キネティクス・グループ ↗ 半導体・バイオファーマ・電池産業向けの設置サービス・機器提供・技術施設マネジメントの業界リーダー。Quadriga Capital保有期間中に売上5倍・従業員数4倍に成長。 |
米国(グローバル展開) | テック対応サービス(設置サービス・技術施設マネジメント) | 非開示 | 2024年4月16日発表・2024年10月15日クロージング完了 | 非開示 | Exit済 | バイアウト |
| アスパイア・エデュケーション ドイツ語圏における専門資格・研修分野のプラットフォーム。デジタル学習ツールやHire-Train-Deploy等の革新的な研修フォーマットを展開し、2018年以降6件の戦略的買収を実施。 |
ドイツ語圏(ドイツ・オーストリア・スイス等) | 教育(専門資格・研修) | 2018年頃(複数のアドオン買収により拡大) | 2022年12月19日 | 4年6ヶ月 | Exit済 | バイ・アンド・ビルド→セカンダリー売却 |
| ドレア 58の介護老健施設と7つの訪問介護サービスを運営する介護事業グループ。Quadriga Capitalの支援下で設立当初から事業拡大。 |
ドイツ | ヘルスケア(介護・高齢者施設) | 2015年(設立時から支援) | 2018年11月7日 | 3年5ヶ月 | Exit済 | バイ・アンド・ビルド→戦略的売却 |
| アリコナ・イメージング ↗ 工作機械業界、医療技術、法医学、マイクロエレクトロニクス分野向けの光学3D表面測定技術(Focus-Variation方式)を提供。 |
オーストリア(グラーツ) | スマート・インダストリーズ(光学3Dメトロロジー) | 非開示 | 2018年12月18日 | 非開示 | Exit済 | バイアウト→戦略的売却 |
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