この​記事で​分かる​こと

  • 投資助言・代理業の2つの行為(投資顧問契約に基づく助言、投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介)
  • 登録制と営業保証金500万円、資本金要件が課されない点など、他の業種との違い
  • 助言業者に課される義務と禁止行為(売買・預託・貸付けの禁止)
  • 投資運用業との線引きと、海外ファンドの運用会社に助言する体制での位置づけ

30秒で​分かる​定義

投資助言・代理業(とうしじょげん・だいりぎょう、Investment Advisory and Agency Business)とは、金融商品取引業のうち、①投資顧問契約を結んで有価証券の価値等や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断について助言を行うこと、②投資顧問契約または投資一任契約の締結の代理・媒介を行うこと、のいずれかを業として行うものです。[1]①を投資助言業務といいます。投資判断を自ら行い財産を運用する権限は持たず、最終判断は顧客が行う点が投資運用業との違いです。業として行うには内閣総理大臣の登録が必要です[1]。

なぜ実務で​重要なのか

投資助言・代理業は、比較的軽い要件で登録できる業種として、資産運用会社の立ち上げ段階や、海外の運用会社に日本の投資機会を助言する拠点で使われます(資産運用会社の​立ち上げ実務)。PE・ヘッジファンドでは、海外籍ファンドの運用会社が投資判断を行い、日本の関係会社が投資案件の調査・助言を担う体制をとる場合に、日本側の業務が助言の範囲にとどまるかが論点になります。IFA・ウェルスマネジメントでは、個人向けの投資顧問サービスや投資一任契約の媒介でこの登録が関わります(IFAとは)。

仕組み:業務の​範囲と​規制

項目投資助言・代理業投資運用業
行う行為投資顧問契約に基づく助言/投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介投資一任契約やファンドに基づき、投資判断に基づいて財産を運用
最終的な投資判断顧客業者
資本金・組織の要件第一種・投資運用業に課される資本金要件や株式会社であることの要件は課されない資本金要件、取締役会設置の株式会社等
営業保証金500万円(投資助言・代理業のみを行う者)—
顧客資産投資助言業務に関して金銭・有価証券の預託を受けることは原則禁止業務の内容に応じて管理

新聞・雑誌・書籍など不特定多数の者に販売され、不特定多数の者が随時購入できる文書による情報提供は、投資顧問契約に基づく助言から除かれます[1]。登録を受けた投資助言・代理業のみを行う者は、主たる営業所の最寄りの供託所に営業保証金を供託し、その額は500万円です[1][2]。投資助言業務を行う業者には、顧客に対する忠実義務・善管注意義務が課され、顧客相互間で利益相反となる助言などが禁止されます。さらに投資助言業務に関して、顧客を相手方とする有価証券の売買等、金銭・有価証券の預託の受入れ、金銭・有価証券の貸付けが原則として禁止されています[1]。

整数設例で​確認する

設例(架空数値・単位は百万円)。海外籍ファンド(規模30,000)の運用会社が管理報酬1.5%を受け取り、日本の関係会社と助言契約を結んで管理報酬の40%を助言報酬として支払う体制とします。

  • 管理報酬:30,000 × 1.5% = 450
  • 日本の関係会社が受け取る助言報酬:450 × 40% = 180
  • 日本の関係会社が投資助言・代理業のみを行う場合に供託する営業保証金:5(500万円。費用ではなく供託金)

この設例で日本の関係会社が投資判断を行い取引の発注まで担えば、助言の範囲を超えて運用に当たる可能性があり、その場合は投資運用業の登録などが問題になります。報酬の配分は架空の数値で、実際の比率は契約ごとに異なります。

開示・​規制上の​位置付け

投資助言・代理業は、第一種金融商品取引業・第二種金融商品取引業・投資運用業と並ぶ金融商品取引業の4類型の一つです。登録を受けた業者は金融庁の登録業者一覧で確認できます[3]。外国で投資助言業務を行う外国法人などは、登録を受けなくても、国内の投資運用業者その他政令で定める者のみを相手方とする場合に限り投資助言業務を行える特例があります[1]。逆向き、つまり日本の会社が海外の運用会社に有償で助言する場合は、日本側の業務が投資顧問契約に基づく助言に当たるかを個別に確認します。投資運用業との比較は投資運用業登録と​QII特例の​違いで扱います。

実務での​調べ​方・​確認手順

  1. 行為を分解する:調査・レポート提供、投資判断の助言、取引の発注・執行、契約の勧誘のうち、どれを誰が行うかを業務フロー図にします。
  2. 契約の性質を確認する:報酬を受けて助言することを約す投資顧問契約か、投資判断を一任される投資一任契約かを、契約書の権限条項で確認します。
  3. 登録を確認する:取引相手やサービス提供者が登録業者かを金融庁の登録業者一覧で確認します[3]。
  4. 禁止行為を点検する:顧客からの預託や顧客との売買が生じていないかを点検します。

運用会社の収益構造の考え方はヘッジファンド​運用会社の​経済性も参考になります。

この​用語を​実務で​「使える」​状態に​する

ファンド​運営体制の​業務​フローから、​各拠点の​行為が​助言・代理か​運用かを​切り分け、​必要な​登録を​整理できるようになる。

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実務家が​確認する​ポイントと​よく​ある​誤解

誤解1:「投資助言業者は顧客の口座で売買を代行できる」→ 正しくは、投資判断を任されて運用するのは投資運用業の範囲で、投資助言業務に関しては顧客を相手方とする売買や預託の受入れが原則禁止です。[1]

誤解2:「投資情報を発信すれば必ず登録が必要」→ 正しくは、不特定多数に販売され随時購入できる新聞・雑誌・書籍などによる情報提供は投資顧問契約に基づく助言から除かれます。[1]ただし会員制のサービスなど、個別の契約で報酬を受けて助言する形は該当し得ます。

誤解3:「代理業は何でも代理できる」→ 正しくは、対象は投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介です。[1]組合型ファンドの持分など第2条第2項のみなし有価証券(集団投資スキーム持分等。電子記録移転権利を除く)の募集の取扱いは第二種金融商品取引業、投資信託の受益証券や投資証券など同条第1項の有価証券の募集の取扱いは第一種金融商品取引業の範囲です(第28条第1項第1号・第2項第2号)。ファンド商品の法的形態ごとに必要な登録を確かめます。

日本実務での​扱い

(2026年11月時点)投資助言・代理業の定義は金融商品取引法第28条第3項で、対象行為は第2条第8項第11号(投資顧問契約に基づく助言)と第13号(投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介)です。登録は第29条、営業保証金は第31条の2と金融商品取引法施行令第15条の12、顧客に対する義務と禁止行為は第41条〜第41条の5に定められています[1][2]。登録拒否事由のうち資本金額や株式会社であることなどの要件(第29条の4第1項第4号・第5号)は第一種・第二種金融商品取引業や投資運用業を行おうとする場合のもので、投資助言・代理業のみの登録には課されません[1]。資産運用会社が投資助言・代理業から始め、体制が整った段階で投資運用業の登録を受ける段階的な進め方も実務で見られます。

面接・​モデルテストで​問われる​ポイント

Q:海外籍ファンドの運用会社の東京オフィスが投資助言・代理業の登録を持つ場合、そのオフィスは何ができて何ができませんか。
「投資顧問契約に基づき、日本株などの価値や投資判断について運用会社に助言することはできます。一方、投資判断を自ら行って運用すること、顧客から金銭や有価証券の預託を受けることは助言業の範囲外です。最終判断を海外の運用会社が行う体制と、その記録を残す運用が重要です。」

深掘りでは、投資運用業・適格機関投資家等特例業務との違いを問われます。

よく​ある​質問​(FAQ)

Q. 個人でも投資助言・代理業の登録はできますか?
A. 投資助言・代理業のみを行う場合は、株式会社であることの要件が課されておらず、営業保証金の規定も投資助言・代理業のみを行う者を対象にしています[1]。その他の登録拒否事由(人的要件など)は個別に確認が必要です。

Q. 営業保証金は全額を現金で積む必要がありますか?
A. 額は500万円です[2]。ただし、所要の営業保証金が内閣総理大臣の命令に応じて供託される旨の契約を締結して届け出た場合は、その契約金額について供託をしないことができる仕組みがあります[1]。

出典・参考​(2026-11確認)

  1. e-Gov法令検索「金融商品取引法」(昭和二十三年法律第二十五号)第2条第8項第11号・第13号、第28条第3項・第6項、第29条、第29条の4第1項第4号・第5号、第31条の2第1項〜第3項、第41条〜第41条の5、第61条第1項. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000025(2026年11月参照)
  2. e-Gov法令検索「金融商品取引法施行令」(昭和四十年政令第三百二十一号)第15条の12. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340CO0000000321(2026年11月参照)
  3. 金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」. https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html(2026年11月参照)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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