この記事で分かること

  • DAU・MAUの定義と、DAU/MAU比率(スティッキネス)の意味
  • 計算式と整数設例での検算
  • 業種によってDAU/MAU比率の適正水準が異なる理由
  • 投資判断・企業価値評価での使われ方

30秒で分かる定義

DAU・MAU(Daily Active Users / Monthly Active Users、読み方:ディーエーユー・エムエーユー)とは、あるサービス(アプリ・ウェブサイト等)を実際に利用したユニークユーザー数を、日次(DAU)・月次(MAU)で計測する指標です。登録者数・ダウンロード数ではなく「実際に使われているか」を測る点が特徴で、SNS・ゲーム・SaaS等の利用実態を測る基礎指標として広く使われます。両者の比率(DAU/MAU比率)は「スティッキネス」と呼ばれ、ユーザーが日常的に使い続けているかを示す代理指標として重要です。

なぜ実務で重要なのか

プロダクトマネージャーにとっては、DAU・MAUの推移がユーザーエンゲージメントの実態を反映するため、施策の効果検証に欠かせない指標です。VC・グロースエクイティ投資家にとっては、SaaS・スタートアップ指標の中でもDAU/MAU比率は、「本当に使われているサービスか」を見極める重要指標です。広告事業を持つプラットフォームにとっても、DAUの大きさは広告在庫の規模に直結し、収益予測の基礎データになります。

計算式

DAU/MAU比率(%) = DAU(1日あたりの利用ユーザー数)÷ MAU(1ヶ月あたりの利用ユーザー数)× 100

DAUは通常、対象期間内の各日のDAUを平均した「平均DAU」を用いることが多く、MAUは月内に1回でも利用したユニークユーザー数の合計です。DAU/MAU比率は、月内のアクティブユーザーのうち平均して何%が毎日利用しているかを示し、高いほどサービスが日常的な習慣として定着していることを意味します。

整数設例で確認する

設例(架空数値)。あるアプリの月間データを考えます。

  • MAU(月間アクティブユーザー数):1,000,000人
  • 平均DAU(1日あたり平均利用ユーザー数):300,000人

DAU/MAU比率 = 300,000 ÷ 1,000,000 × 100 = 30%です。仮に競合アプリBのMAUが同じ1,000,000人でも、平均DAUが100,000人であれば、DAU/MAU比率は100,000÷1,000,000×100=10%にとどまります。両アプリのMAU(月間の利用者数の規模)は同じでも、アプリAの方が3倍高い頻度で日常的に使われていることが、この設例から確認できます。広告収益モデルの場合、日々の広告表示機会はDAUに比例するため、MAUが同じでもアプリAの方が高い広告収益ポテンシャルを持つと評価できます。

投資判断への影響

投資評価では、MAUの絶対数だけでなく、DAU/MAU比率とその推移を確認することが重要です。新規ユーザー獲得に広告費を投じても、それらのユーザーが定着せず比率が低下し続けているサービスは、獲得効率(CAC・LTV)の観点から持続可能性に疑問符がつきます。適正な比率の水準は業種で大きく異なり、SNSのように日常利用が前提のサービスは高い比率が期待される一方、旅行予約のように利用頻度が本質的に低いサービスでは低い比率でも問題視されないことがあります。

財務モデル・Excelでの使い方

デジタルサービス企業のモデルでは、ユーザー数と収益を結びつける中間指標としてDAU・MAUを使います。

  • MAU行:新規獲得ユーザー数-解約(非アクティブ化)ユーザー数のロールフォワードで予測
  • DAU行:MAUに想定DAU/MAU比率を掛けて予測
  • 収益行(広告モデルの場合):=DAU×1人あたり平均広告表示回数×広告単価で算出

この分解により、ユーザー獲得施策(MAU拡大)とエンゲージメント向上施策(DAU/MAU比率改善)のどちらが収益成長により大きく寄与するかを比較検討できます。ARPUGMVと組み合わせることで、ユーザー基盤の質と量の両面から収益予測の精度を高められます。

この用語をExcelで「組める」状態にする

MAU・DAU/MAU比率から収益を予測し、ユーザー獲得とエンゲージメント向上の効果を比較できるようになる。

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実務家が確認するポイントとよくある誤解

誤解1:「MAUが大きいほど優れたサービス」→ 正しくは、MAUの中身(本当にアクティブか、休眠ユーザーが多く含まれていないか)を確認する必要があります。DAU/MAU比率の低いサービスは、見かけのMAUほど実態のあるユーザー基盤を持っていない可能性があります。

誤解2:「比率は業種を問わず高いほど良い」→ 正しくは、利用頻度の本質的な性質によって適正水準は異なります。不動産購入のように低頻度利用が前提のサービスに、SNS並みの比率を求めるのは誤りです。

日本実務での扱い

(2026年7月時点)日本のSNS・ゲーム・フィンテックアプリを運営する企業も、決算説明資料でMAU・DAUを主要経営指標として開示することが一般的で、上場企業のIR資料でDAU/MAU比率の推移を独自に説明する例も見られます。総務省「情報通信白書」では、日本国内のインターネット・SNS利用動向に関する統計が定期的に公表されており、業界全体のユーザー行動を把握する参考情報として活用されます。国内スタートアップの資金調達・VC投資の場面でも、DAU/MAU比率はグロース指標として投資家との対話で頻繁に用いられます。

面接・モデルテストで問われるポイント

Q:あるアプリのMAUは伸びているがDAU/MAU比率が低下しています。どう評価しますか?
「MAUの伸びが新規ユーザー獲得によるものか、既存ユーザーの継続利用によるものかを切り分けます。DAU/MAU比率の低下は、新規に獲得したユーザーが定着せず、休眠状態のまま月内に1回だけ利用している可能性を示唆します。この場合、獲得効率(CAC)に見合うだけの継続利用が実現できていない可能性があり、ユーザーオンボーディング(初期利用体験)の改善や、リテンション施策の強化が必要と考えられます。」

深掘りでは「DAU/MAU比率の業種間の適正水準の違い」が問われることがあります。

よくある質問(FAQ)

Q. DAU/MAU比率はどのくらいが「良い」水準ですか?
A. 業種によって大きく異なり、一律の基準は存在しません。SNS等では20%以上が目安とされることがありますが参考値に過ぎず、自社の過去実績や競合水準との比較で評価するのが実務的です。

Q. DAU・MAUとARPUはどう関係しますか?
A. DAU・MAUはユーザーの利用実態(エンゲージメント)を示す指標で、ARPUは収益化の効率(1ユーザーあたりの収益)を示す指標です。両者を掛け合わせることで、ユーザー基盤の質と収益化力を総合的に評価できます。

出典・参考(2026-07-25確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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